黒子のバスケ小説

□狼もイヌ科なんスよ?
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「黄瀬君。」
「なんスか?はるっち」

忙しくも楽しくて精が出る部活を終え私と彼、黄瀬涼太は部室にいた。
まだ帰っていないのは、私が「バスケットボールを磨いてから帰るよ。」と言ったためで
彼も残って手伝う、と申し出てくれたからである。

「 お手 」
「 ? はいっス、これでいいんスか?」
私の突然の言葉に疑問を持ちつつも彼は私の差し出した手の上に自分の手をのせて来た。
左手にはバスケットボールを持ったままで。
のせられた手に気がつくと今までの事が無意識だったため私は慌てた。

「うわっ!ごご、ごめんなさい!!突然こんな事・・・。」
手をのせたら突然慌ててしまった私にすこしおどろきつつ彼は私が落としたボールを拾い
「いいっスよ、べつに。でも、突然どうしたんスか?」
と、言ってくれた。

「あ、うん。そのね、気を悪くしたらごめんなさい。
 その、黄瀬君はいつもなんだかワンコみたいで、かわいくって・・・つい・・・。」
言ってしまった。

そう、彼が周りの人といる時まるで大型犬かのような仕草や言動をとる。もちろん素で。
特に、キセキの世代や笠松先輩相手にはそう見える。
実はイヌでした。と言われても納得してしまうくらいで・・・
たまに耳としっぽが見えるのは幻想だと思いたい。

私が突然こんなことを言い出したのは、たぶん彼がうれしそうにボールを磨いている所を見ていたからだと思う。
ボールと遊んでいるように見えてしまったのだ。

「ワンコ・・・っスか、うーん、よく言われるっスよ〜
 そんなに俺って犬みたいなんスか?別に犬は嫌いじゃないっスけど。」
やっぱり言われるんだ・・・。と密かに思ったり。
「うん。見ていてとてもかわいいと思うな。」
思い出して少し笑ってみる。

「かわいいっスか・・・。でも、男としてはかっこいいって言ってもらいたいんスけど」
すこしすねちゃったらしい彼が唇を尖らして言う。
なんだかその しゅん となっている姿がまたワンコに見えたりするわけなのだが、これは言わない方が良いのだろうか?
「そうなの?でも、バスケをしている黄瀬君はとってもかっこいいと思うな!」
これも本当である。いつもの彼とは思えないくらいに真剣でかっこいい。
このときの彼はとてもワンコには見えない。
「本当っすか?」
一気にテンションがあがる。

「うん。みんなが黄瀬君に惚れるのもわかるな〜ふふ。」
「 ! ・・・はるっちも、そうなスか?」
突然の真剣な顔。
すこしドキッとしたが、彼が何を言っているのかわからなかった。
「えと、どうゆうこと?」

「つ、つまり・・・はるっちも、お、俺に、その ほ、ほれ・・・・(落ち着くっスよ俺!!)」
「 ? 」
顔がどんどん赤くなる彼。

「すー、! はるっちも俺に惚れてるって、受け取って良いんスか?!」
真っ赤なままの顔で私を見る彼。
その言葉の意味を思ったよりも早く理解した私の頭。
真っ赤になる私。


「俺は、惚れてるっス!」


考えた事もなかった、けれどきっと私も彼に惚れていたんだろうな。
真剣な彼を見て私はそう思った。



それから数日後

彼とはそういう・・・いわゆる・・・こ、恋人という中になり
以前よりも一緒にいる事が多くなった。

そんなある日の放課後
また彼とボール磨きに残っていると

彼は持っていたボールを置き私を見て・・・

「きゃっ!」

押し倒された事により、座っていたベンチに腰をうつ。
上を見ると、少しいつもの笑みではなく、なんだかかっこいい感じの笑みを浮かべた顔
思わず、持っていたボールを落としてしまった。

「はるっちそういえば知ってるっスか?

             狼もイヌ科なんスよ?                    」
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