黒子のバスケ小説

□迷子な私を見つけてくれる人達。1
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周りには人・人・人、人ばかり。
だが、知った顔の人は1人としていない。
知った人がいたとしても、それを見つけるのは困難を極める行動だろう。
何故かというと、ここは普段私の住む町から少し離れた町だからという事と、今日この町では夏祭りと花火大会を同時開催するからである。
神社だけで行われる小規模な物ではなく、町をあげたイベントのためこの町のどこへ行っても屋台等が並んでいたり、ショッピングセンター等もこのイベントを盛り上げるための行動をとっている。
このように大規模なイベントはなかなかないためいろんな所から人々が集まっている。
普段の風景を知らない私でもこの町の人の数は異常なほど多いという事を想像するのは非常に簡単な事だ。
そして、そんな私もこのイベントを目的として、1度も来た事のないこの町に来た人の1人というわけである。

1人でくるとは…、と考えた人もいるかもしれませんが、私はもともと1人でこの町に来たわけではないのです。
学校の部活の先輩の方と、部活つながりの友達のかたと来ていました。
だが、なぜ今1人でいるかというと・・・まあ、いわゆる迷子というやつですよ。(苦笑)
自分で笑っていてなんですが、今はとても笑っていられる状況ではないのです。
正直泣きそうです。

私はもともと、人とお話をしたりコミュニケーションを取る事が苦手な人なんです。
恐怖症、と言うほどではありませんが慣れた人と一緒でなければこのような状況はまさに地獄です。
気分はヤクザやマフィアとうの集団に囲まれている感じです。
しかし、まだそれだけだったのならマシだったかもしれません。
今、一番私が泣きたいと思う理由はただの人が怖いからではありません、男の人が怖いからです。
確かに知らない人が周りを行き交っているというのは少し怖いですが、そんことはまだ本当に良いのです。話しかけてこないのなら・・・。
しかし、男の人は別です。さらに大人の男性は特に関わっていなくてもとてもこわいのです。
女性と楽しそうに行動している男性はだいじょうぶですが、男性だけの集団は…。
もともと、いい人や優しい人であると知っていたりすると大丈夫であったりしますが、それ以外の人は完璧にアウト。
それ以外の人でも私と知り合いや友達が一緒に行動していればフォローをしてくれたり、いるだけで安心するのでセーフ。
あまりほめられた性格ではない事は承知しているが・・・どうしても反応してしまう。
なにかトラウマがあったわけでもないですが・・・。



思考の渦にはまっていると、どこからか子供の泣き声が聞こえてきました。
今私がいるのはこの町のショッピングセンターの道路のど真ん中である。
車道は閉鎖されているため人々はこの車道も使っている。人でいっぱい・・・。
話はそれたが戻してみると、声の主を捜してみるとお店とお店の間の狭い通路に子供がしゃがみ込んで泣いていたのです。
どうやら周りの人々はこの小さい子供に気がついていない様子で次々と前を通り過ぎている。
私が人をかき分けそのこの前に出る。

「君、どうしたの?」

そういって子供の頭をなでてみる。
すると、その子供は顔を上げ私を見ると泣きながら
「おかあ・さんと、っおとう・・さんがい・・ないの・・・うう」
と、いった。
子供を見ると、せいぜい6、7歳といったところで、手にはピンクのウサギのぬいぐるみがあり、薄い桃色と白の生地に桜の花の模様がついたかわいらしい浴衣を着た女の子だった。
「そっか迷子か〜・・・、えーと、お名前を教えてくれるかな?」
私の質問に涙をすこし拭いつつ「さくら」と答えてくれた。
「そっか、さくらちゃんか、お姉ちゃんははるっていうの。」
「はるおねえちゃん?」
「そう。おねえちゃんがさくらちゃんのお母さんとお父さんを一緒に探してあげるよ。
 だから、泣かないで?」
もう一度少女の頭をなでてあげると、少女はまん丸い瞳を輝かせながら「ほんとお?!」と言って来た。
「うん!本当だよ。じゃあ行こっか!」
少女の手を握って立ち上がる。
「うん!」



「それで、さくらちゃんはどこでお母さん達とはぐれちゃったか覚えてる?」
「う〜ん、あのねよくわからない・・・」
下を向く少女。
「そっか、じゃあ最後にいったお店は覚えてる?」
めげずに情報を探してみる。
むやみにここから動くのは妥当ではないと思ったからである。
きっと少女の両親もはぐれた所の近くを探している。ならばあまり離れない方が良いだろう。
行き違いになるのもさけるべきだ。

「えーとね、水風船!えーと、えーとね、うーんお花屋さんの前にあったの!」
上出来!「そっか!よく覚えていたね、えらい! じゃあまずはそこに行こうか。」
ほめてもらえた事がうれしいのか、すこし顔がピンク色に染まりながら少女は笑った。
どうやら少女の不安を追い払えたようなので私もうれしくなった。
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