黒子のバスケ小説

□HSK・ハイスペック彼氏な鷹
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「高尾ーちょっと〜」
「何〜?」

「高尾あのさ〜」
「うんうんwww」

「高尾昨日のテレビ見た?」
「おう!すごかったなアレ!www」



「んでさ〜、あれ?真ちゃん?わり俺行くわ!
 しんちゃ〜ん!」
「なんなのだよ、高尾。」
「いんや、真ちゃんが見えたから一緒に話でもしようと思ってさ〜。」
「フン。好きにすればいいのだよ。」



 「  H S K  」


彼は結構なんでもできる人だ。
勉強もそれなりにでき、強豪バスケ部のレギュラーを1年生で取れるほどの運動神経も持っている。
極めつけにコミュニケーション能力に長け、誰とでもすぐに仲良くなれるお調子者でもありムードメーカー、
密かに他の人に気を配っていたり、相手の気持ちに素早く対応しようとするなど冷静で思慮深い一面も併せ持っている。
そのため周りの人は、接しやすい彼によく話しかけるし、先生や先輩方も彼を良く頼る。

そんな彼は密かに HSK 通称 ハイスペック彼氏 たまに、 HST ハイスペック高尾 と呼ばれている。
主に女子の間での事が多いが男子もたまに使っていたりする。
彼がなぜハイスペックと言われるかというと上記のとおりだが、
一番の理由はやはり、周りのほとんどの人が変人で関わりにくいと思っているキセキの世代の一人 緑間真太郎 と、いつも彼が楽しそうに接しているからである。
ちなみに私は変な人と、思った事はあるが別に悪い意味ではない。
私もコミュ力が足りない人の部類にはいるしむしろ、仲間意識がある。
それに、周りの人はあまり彼、緑間君と話さないから分からないだけで、実は少し素直になれないだけの優しい人なんだ。


「何の略?」
突然の頭上からの声。
思わず「へ?」と答えてしまう。
「HSK ってやつ。」
「あー、ハイスペック彼氏 だよ。高尾君のこt・・・」
問われた疑問に対して返事をしながら顔を上げると、そこにはまさに今話題の高尾君だった。

「うわっ!た、高尾君?!いつから?」
「うーんと、はるちゃんが読書をやめて、ちょっと頬杖付きながら俺を見てたときからwww」
なんだかとっても嬉しそうに笑う彼だが、それはつまり
「最初からってことですね・・・。」
「うんwww」
あー!!はずかしい。そんなに私高尾君を見つめてたのかな?
すこし顔が赤くなる。

「ところで、はるちゃん!ハイスペック彼氏ってなんで俺の事なの?
 俺、彼女いないけど?(いると思われてるのか?まさか)」
なんだか、少し不安そうな顔。なんでだろうか?
「あ、ううん。彼女さんが居るのかは関係ないと思うな。
 高尾君がすごいなあってみんな思ってって付けたんだと思うから。
 それに、ハイスペック高尾 って言うのもあるから。
 面倒見が良いって言うのも入ってるんだと思うな。」
不安そうな顔を見るのが何となく嫌だったから急いで理由を言った。
そうしたら「そっか、よかった!」とまた笑顔が返って来たから私も少し笑ってみる。嬉しいな。
高尾君の笑顔を見るとなんだか元気になれる気がする。

「てか、俺そんなすごいん?」
「うん!私も高尾君ハイスペックだと思うな〜。
 女子さん達が好きって言うのもわかるなあ〜。」
うんうん。
こんな私ともいつも話をしてくれるし。
何かあった時いつもそばに居てくれるし。
「へ〜・・・、はるちゃんも俺の事好き?」
なんだか少し雰囲気が変わる。すこしかっこいい時の高尾君だ。
「うん?好きだよ?」
素直に言ってみたら、高尾君がすこし驚いた後になんか違う、という複雑な表情をしていた。

理由がよくわからないからそのまま思っている事の話を進めてみた。
高尾君は本当にすごい所がいっぱいあって、尊敬もするし、かっこいいと思ったりもする。
でも、何となく頭に浮かんだのはちょっと他の事だった。

「きっと高尾君の彼女さんになった人は幸せなんだろうな〜。」

「でも、 高尾君に好かれるならきっとその人も高尾君みたいにとってもいい人なんだろうね!
 そして、もっと好かれるように自分を磨いてもっと素敵な人になるんだろうなあ〜。

 彼女さんができたら教えてね?」

最初の私の言葉を聞いたときに少し目を見開いた高尾君。
何か気に障るようなことを言ったのだろうか?

「ねえはるちゃん。」
一度瞳を閉じた彼が再びその瞳をあけると。

それは彼が試合をするときに見せる真剣な目。
獲物を視界にとらえた鷹のようなそれ。
別に彼のそのすこし特殊な 鷹の目・ホークアイ を使っているわけではないだろうが。
彼の不思議な色の瞳に引き込まれ目が離せなくなる。


「なってよ、俺の彼女に。」


何かに捕らえられた気がした。
でも、それは悪い物ではなくて少し、安心する。そんな感じ。
きっと、HS ハイスペックな彼だからだろう。

いや、私は彼がハイスペックと言われる前からきっと彼に捕らえられていた。
鷹は、一度手に入れた物は絶対に手放さない。
大事にする。自分のことよりも。
彼も私をそうしてくれるんだろうな・・・。
うれしくて、うれしくて。

「はい。」

離されないのを覚悟に、私は自ら彼に捕まりにいった。
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