黒子のバスケ小説

□灰色な彼の高校デビューを成功へと!
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注意  原作みたいなゲスイ灰崎君はいませんよ〜
    好きな方はすみません><








どうも、皆さん初めまして。
八神はるといいます。
私は現在 「黒子のバスケ」 というバスケ漫画の世界にいて、帝光中学校2年生であり、この世界の主人公やキセキの世代と言われる
まー、いわゆる主要メンバーが集う 帝光中学校男子バスケットボール部に所属し、マネージャーをやっています。
何故私がこの世界にいるのかという事は、この際どうでもいいです。
今の私に取って重要なのは、ただ一つ。

ちょっと前に部活の絶対者こと部長、赤司君にいろいろあって強制退部させられた
 「 灰崎祥吾 」
君の、残念すぎる高校デビューをどうやって成功へと導けば良いのか・・・・・・
という事です。

何故私がこんな事に悩んでいるかというと、
ずばり、やって来たこの世界の時期・場所、が原因かと思われます。
もし、やって来た所が帝光中学校ではない場所だったなら・・・
もし、やって来た時期がこの彼らがまだ中学校のこの時期じゃなかったら・・・
私は、彼にこれほど深く関わる事はなったのだろう。
彼の高校デビューをここまで残念と思う事は無かっただろう。

でも、私はこの時期の、この場所に飛んだのだから意味があったのだろう。
その意味が何かは残念ながらその時が来るまで分かる事は無いと思う。



さて、ここで一つ、私がこの世界に来て彼、灰崎君と関わる前の彼の印象を暴露しちゃいます。
・・・・・・。
はっきり言って嫌いなキャラクターでした。
なんせ暴力は振るうは、人の彼女を奪う?やら、人間的にしては行けない事を平気で、楽しそうにする。
本人曰く「人のものを見ると欲しくなる」らしく、強奪癖なる物を備えていて
挙げ句の果て黄瀬君にひどい事いっぱいした、最低なキャラ。
こういう認識でした。
私は黄瀬君がたぶん一番気に入ってるキャラクターだったからよけい 悪 というイメージを持っていたのかもしれません。
そしてこの世界に来て彼と出会った私は、そのままの印象を彼に重ねていたんです。

でも・・・
確かに彼は少し不良っぽい振る舞いをしていたけれど、私の印象とは似ても似つかない人間だったんです。
悪そうに見えて、実は優しい人。
意外と周りを見ていて気づかれない程度に気を配っていた。
暴力も必ず理由があり、黄瀬君の彼女事件(本当は彼女でもなんでもなかったけれど)も、万が一にも黄瀬君があんな女の人(碌でもない事をするまさに最低な女の人)に捕まらないようにと、黄瀬君から彼女を遠ざけるためにやった事であったり・・・。
たしかに黒子君のミートボールを食べたりするけど、それはちゃんと許してくれると分かっている範囲での事。
本当に悪い事は自分からやらない人。(ちなみに退部の理由は暴力行為のため)
良い事をしているのに自分をよく表せない、
器用で不器用な優しい人。
これが今の私が彼に持っている印象です。

もしかしたら彼は漫画の世界の彼とは違う人で、ここはあの世界に似ているけれど本当は少し違う世界なのかもしれない。
でも、これにも何かの意味があるのかもしれない。

さて、少し長い寄り道になってしまいましたが本題に戻りましょう。
つまり私は本来なら、
あの人高校デビュー失敗したんだね・・・ちょっとありえない・・・あれは無いでしょう?
とか思っているのに
彼と出会い深く関わったために、なんとしても彼の残念な高校デビューを成功へと導かなければ!!
とか思ってしまった訳です。

どのくらい残念かというと、
彼の綺麗な灰色の髪、銀髪に近いのかもしれないそのストレートを男子らしく大雑把に跳ねさせた髪型が・・・
見事に真っ黒に染められ、ドレッドというかコーンロウなるものにされ、挙げ句の果てに何個もピアスを付けている
いかにも不良という風貌へと変貌してしまうのです。
本来他のキャラ達同様、イケメンなはずの彼は、誰がどう見ても「うわあ・・・あの人かっこわる」という状況になってしまうのです!!

彼の優しさに触れ、この世界でもっとも仲良くなったからには、
彼が残念な高校デビューを果たし、周りの人からそんな風に見られてほしくないのです。
だから、まだ高校進学まで約2年、正確には1年と数ヶ月も前から対策を考えようとしている訳です。



「おい、はる。
 さっきからどうしたんだ?俺の顔なんか見て。
 なんかついてんのか?」
気がつくと目の前には、たった今まで絶賛 「彼の高校デビューを成功へと!!」 とか考えていた話題の本人のどアップの顔があった。
「きゃっ!!」
あまりに突然だったので、つい悲鳴をあげて椅子ごと後ろに転びそうになった。
「おい!!
 っぶねーな!だいじょうぶか?」
彼が抜群の運動神経で私といすをつかみもとの一に戻す。
「う、うん。ありがとうね。」
「?ならいいわ」
なんとかスルーしてくれたようだ。
どうやら私は今周りから見るとぼーっとしている不思議な人だったのだろう。
ここは私と彼の教室で、時刻は放課後。
部活はテスト前という事でテスト期間休み中。
放課後という事で他の生徒はとっくに家路についていたりする訳で。
なのに私と彼が何故まだ、ここにいるのかというと、お互いにテスト勉強をしていたからである。
そんななかで勉強をしている彼を見ていてさっきの事を思いついたのです。

「(やっぱり、もったいないな・・・)」
「??やっぱなんかついてんのか?」
「へっ??あ、ちがうちがう!」
またも彼をじーっと見つめていたらしい。
彼が不思議そうな顔をして質問する。
私は気がつかないままやっていた事のため、またも変な反応をしてしまう。
「んだよ、さっきから」
ちょっと不機嫌そうな声。
でも、怖くない。少しすねてるのかな?
その子供っぽい感じも彼には似合っていて、やっぱり私はもったいないとおもう。
こうなったら、絶対に高校デビューを成功させなきゃ!!と、決意を新たに胸に刻む^^
「・・・。やっぱりお前今日変じゃね?(顔見てると表情コロコロ変えて面白いけど)」
「え、そ、そうかな?」
結局その日は勉強になんねえ、という事でマジバによって私たちは家路についた。

その後も、私はどうすれば彼があんな高校デビューをしないですむのか。
という事について考えたがなかなか良い案は思い浮かばなかった。
彼の事をずっと見て考えていた・・・・・・


数ヶ月後
またもテストのため彼とテスト勉強に励む私。
時折彼に分からない問題を教えてもらったり、私が彼の分からない問題を教え合ったりした。
少し休憩を挟んだりして、雑談をしながら過ごす。そしてまた勉強を再開する。
ふと自分がまた彼を見つめている事に気がつく。
「う〜ん。」
「あ?わかんねー所があるのか?」
「へ?あ、う、うん。ここなんだけど」
特に聞こうとも思っていなかったけれど、とっさにそう言ってしまった。
「(高校デビュー・・・イメチェン・・・いめちぇん・・・あれ?これだけ?私。)」
なにかがひっかかる。
でも分からない。
なおも彼を見つめる。
「私、今の灰崎君が好きなんだけどな〜・・・」
「!!」
ぽろっと漏れた言葉。
でも私は気づかない
「髪の色もとっても綺麗だし・・・かっこいいし・・・やさしいしな〜・・・好きだな〜・・・うん。・・・やっぱり・・・ったいないなあ・・・・・・」
内容はばらばらでまとまりがない。
意識して言っている訳ではないから当然と言えば当然なのかもしれない
「おい・・・」
灰崎君が声をかけるがノーリアクション。
「・・・かわるなんて・・・いやだな・・・」
ぽろっ
いろんな意味が含まれている言葉とともに一粒のしずくがこぼれ落ちた。
「・・・。」
彼がそっと拭き取ってくれる。
その間もそれに気づかずに私は彼の顔を見つめていた。

*   *   *

彼に声をかけられて気がつくと青かった空はオレンジになって、一部濃い青になっていた。
「あれ?私・・・」
不思議そうに顔を上げると彼があきれ顔で私を見つめていた。
「寝てたんだよ。
 せっかく俺様がやり方教えてやってたってのにな」
「えっ!!ごめん!どうしよう」
時計を見ると時刻は6時をさしている。最後に見た時は4時半をさしていた。
「はー・・・たく、今日はかえんぞ。」
そういって鞄に勉強道具をつめブレザーを着る彼。
「(あれ?私寝る前まで灰崎君ブレザー着てなかったっけ?)」
自分も支度のため立ち上がるとふと気がつく。
少しあたたかい自分の体に。
どうやら、寝ている間彼は私の体が冷えないように自分のブレザーをかけていてくれたらしい。
ふふっ
「(ほら、やっぱりやさしい。)」
私が笑うと彼は「んだよ?」といって顔をそらす。
「べつに・・・ほら帰ろう!」


結局私は残りの中学校生活で有効な手段を考えだす事は出来なかった。
唯一出来たのは、彼があんな風にならないようにそばにいて見守る事。
美容院に行くときや彼が髪を切ろうとする時になんども心配して話しかけすぎたためか、
一度だけ彼から「俺の髪このままのが良いと思うか?」と聞かれてすごく首を縦に振ったこともあった。

その後、私は彼とは違う高校に入った。
黒子君と一緒に誠凛高校へと。
黒子君や他のキセキの世代のみんなからは不思議がられたり「てっきり、灰崎と同じ学校行くと思ってた。」とか言われた。
私も行きたかったけれど、この世界に来たのは彼と仲良くなるためと、きっと誠凛を見守るためだと思ったから、
達成した前者ではなく、これから達成するために後者を選んだ。
彼とはそれからしばらく会っていなかった。
どうやら、キセキのみんなとは何故か仲は悪くないようで
黄瀬君にもなんだかんだ言って世話を焼いているようだし心配はしなかった。



そして・・・・・・

誠凛のWC優勝後、私は彼と再開した。
正確にはその前に試合で会ったりしているが、バスケに関係なく会うのは初めてだった。
彼は高校デビューを成功したらしい。
あの質問のおかげなか?とおもったりしている。

「はる、俺さお前の事ずっと前から・・・好きだったんだ。
 その、さ、つき合ってくれ!」
綺麗な髪がさらさらと風にふかれゆれる。
少し赤い彼の顔にとてもマッチしていてよけいな物は耳のどこにもついていない。
たしかに、かっこいい。
でも、ちがった。
私は彼の高校デビューの成功のために彼を見ていたんじゃない・・・。
彼自身のすべてを見ていたくて見ていたんだ。
つまりー・・・・・・
「わ、わたしもずっと好きだった!」

器用で不器用で優しい彼の抱擁はすこし不器用さがより目立っていて、
でも優しかった。




彼は高校デビューを成功した。
そして、私も少し遅れて彼との新たな高校デビューをしたのだった。







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