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□あの日の友達の印
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突然デジタルワールドという世界にとばされ、次々と襲って来るデジモン達を仲間と助け合って倒していっている俺たち。
いつ襲われるかも分からない状況。
そんな状況ではじめ俺たちは「 家に帰る 」為に度を続けていた。
しかし、やがて目的はデジタルワールドと俺たちの世界を救うための戦いの旅へと進路を変えた。

そんな俺たちはいつ襲われても対処できるようにみんな休める時に休むことが大事だ。
さっそく敵と戦いをした今日みんな疲れ果てていた。
そして夜の今は森の中でみんな野宿中だ。
みんなが寝ているときは2人とパートナーデジモンずつの交代で火の番と見張りをする。
今日は、俺とコロモン、ヤマトとツノモンの2ペアだ。
究極体に進化できるのはコロモンとツノモンの2体だけだから本当なら一緒にこうして休まずにいるということは滅多に無い。
いざという時に2体とも疲れて進化できなかったら意味が無いからだ。
しかし、今日の戦いでは他のみんながいつも以上に奮闘して力を使い切ってしまったため休んだ方が良いということで俺たちが起きてるわけで。
もちろんコロモンもツノモンも幼年期に戻るほど疲れているけど、究極体になれる分防御力も高くなるから完全体までのみんなよりも大丈夫ってわけだ。


「ねーねータイチー」
「んー?なんだコロモン」
「んーなんでもない」
「そっかー」
コロモンが俺にすり寄って来る。
特に意味はないらしいがよく俺の名前を呼んでは、なんでもないと言う。

「そう言えば太一」
「なんだ?」
次はヤマトが呼んで来た。
ツノモンもヤマトを見たり俺を見たりしている。
「いや、たいしたことじゃないが
 お前って光が丘の事件の時にアグモンやグレイモンと居たんだよな?」
「ああ、そうだけど。
 それがどうしたんだよ?」
光が丘でのデジモン事件。
俺たちが選ばれし子供達に選ばれたきっかけ。
はじめてデジモンを見た日。
「いや、あのグレイモンのことだけど
 もう一体の飛んでたデジモンを倒した後消えただろ?」
そう、あのとき俺の家のパソコンから突然現れた卵。
そこからボタモンが生まれてコロモンに進化して・・・
アグモンに、グレイモンに進化して襲って来たもう一体のデジモンを倒した後
戦いの跡だけのこして消えていったんだ。
何も知らなかった人達はそれを爆弾テロ事件だと思い引っ越しをする者などもいた。
「そうだけど?」
「あの時のグレイモンってこのコロモンなのか?」
そう言ってヤマトは俺にすり寄っているコロモンを指差した。
とうのコロモンは一瞬不思議そうにした後ヤマトの方を見て言った。
「うーん、そのコロモンは別の個体だと思うよ?」
「そうなのか?」
「そうだよ。だってコロモンも俺たちと一緒にファイル島で卵から孵ったから」
ツノモンがフォローに回る。
「うん。
 でも、ボク初めてファイル島でタイチにあったとき、なんだかとっても懐かしい気がしたんだ。」
そうしてまた俺にすり寄って来るコロモン。
頭と言っても体全部が頭っぽいけど、を撫でたら嬉しそうにするのが俺も嬉しい。

「ていうか、どうしてまたそんなこと聞いたんだ?」
疑問を投げかけてみた
「いや、ふと気になったんだ。
 他のみんなもそれぞれのパートナーに懐いてるけど
 それ以上にコロモンはお前に懐いてるっていうか、なにか不思議な繋がりがあるような、特別なような気がしてさ。」
「そうかあ?」
「まーそうだろ?」
二人で首を傾げてしまった。
俺はそう言われても特にそう思ったことはなかったし、普通だと思ってた。
そこでコロモンを見てみた。
薄いピンク色の丸いからだ。
触覚だか耳だかの用な物が上から2つ生えていて、それを手のように使ったりする。
大きな赤い目はぱちくりしていて、はっきり言ってかわいいとか思う。
そうしてコロモンを観察していたらふとさっきの話の中のコロモンを思い出した。

「あ・・・・・・。」
「どうした太一?」
「どうたの〜タイチ〜?」
「?」
俺の漏らした声を聞き取ったヤマト達。
「いや・・・。」
「タイチ〜?」


「友達の、印ー・・・・・・」


「ともだちのしるし?
 なんだよそれ?」
「あ、いや。あのコロモnガッ!!」
「お、おい太一!!」
俺が友達の印と言って、ヤマトが聞き返したら
突然、コロモンが俺の顔に巻き付いた。
そう、あの時のコロモンのように・・・

「コ、コロモン・・・お前、それ・・・」
一頻りコロモンが俺に巻き付いた後離れて俺の手に降り俺を見た。
俺もコロモンをビックリした表情で見て、
ヤマトとツノモンは不思議そうな顔をしている。

「友達の印だよ。」
「お前、なんでそれをしってるんだ??」
「う〜ん、わかんないや。
 タイチが『友達の印』って言ったとき、なんかこうしなきゃいけないって思って。」

「だから、その友達の印ってなんだよ?」
俺とコロモンのやり取りを見ていたヤマトがしびれを切らせて聞いて来た。
「友達の印は友達の印だよ?」
コロモンの答えだけど答えに聞こえないような答え。
「??」
「友達になった印。ボクとタイチが友達の印だよ!」
「・・・はあ、それで太一はなんでさっきから驚いてるんだよ?
 知ってたんだろ?その『友達の印』ってやつ。」
なんとか理解したらしいヤマト。さすがって所だな。
だけど、驚くのも当たり前だ。
それはあの時のコロモンのした行動だったから。
今までいろんなデジモンを見て来たから、この友達の印はあいつだけの癖だとわかってる。
だからこそ俺のパートナーの、このコロモンがするとは思ってた無かったんだ。
「だって、これあの時のコロモンしか使わなかったんだ・・・。」
そのことについて詳しくヤマトに説明してるとツノモンが少し前に出てきた。
「たぶん、その時のコロモンのデータが今のコロモンの卵のデータに入ってたんじゃない?」
「どういうことだ、ツノモン?」
「だって、そのグレイモンまでに進化したデジモンは敵を倒した後に消えたんでしょ?」
「ああ。」
ツノモンの仮説に耳を傾ける。
「だったら、たぶんそのデジモンは一回データに戻ったと思う。
 人間界に行くこと自体まだ、無理な時だったんだし。
 やるべきことをしてデジタルワールドに帰って来たととか?」
「どういうことだ??」
結構ややこしいツノモンの言葉を整理してみようと頑張る俺。
ヤマトも意味が今一分かっていないみたいだ。
「それで、どうしてコロモンの卵にそのデータが入ったことになるんだ?」
「それは分からないけど、コロモンは太一を見た時に懐かしいって思ったんでしょ?」
「うん!すっごく懐かしくって温かい気持ちになったんだー。」
ツノモンの言葉に即答したコロモンはなんだか嬉しそうだった。
コロモンの返事に頷いたツノモンはつづけた。
「だったら、その記憶を少しでも持ってたってことじゃないかな?
 データなら同じデータの卵に入りやすいし。同じ種族ならなおさら合わさりやすいと思う。
 それに、コロモンは少し特別な気がするから。」
「ん〜そうなの〜?」
「なんとなく」
「まるほどな・・・たしかにそれなら太一のコロモンが特別な理由も分かる気がする。
 デジヴァイスもなしで突然太一達の所にいけるほどの何かを持ってたってわけだし、それをコロモンが引き継いだなら・・・」
うんうん頷くヤマト。
話は終わったみたいだけど、俺ははっきり言ってよくわからなかった。
とにかく、あの時のコロモンはこのコロモンってことでいいのか??
あー、よくわかんねー

「でも、そうだったら俺はその方がいいぜ」
黙っていた俺が突然そう言ったら3人は俺を見て来た。
「だってさ、コロモンはコロモンってことだろ??
 だったら、それでいじゃねーか。俺とコロモンはパートナーで大切な相棒なんだからさ」
思っていたことを言うとヤマトは少し驚いた後に笑って、ツノモンもそれにつづいた。
「はは、ま、そうだな、太一らしい答えだな。」
「うん、そうだねヤマト。」
「タイチー!!」
コロモンがまた俺の顔に巻き付いて来た。
「うん!!タイチ!タイチ!
 ボクもそう思うよ!」
「わかったわかった!」



「友達の印」

それは、コロモンとの友達の印。
あいつの精一杯の思いの体現。
俺の大切な、大切な友達からのプレゼント。


それは、俺とコロモンと、ヤマトとツノモンとで見張りと火の番をしていた時の話。
懐かしい思い出と
懐かしい感覚
懐かしい気持ち
確かにあいつが存在していて
俺と友達になった印の行動
でもそれは変わらずに今も感じられる
始まりの日のパートナーの気持ち
なにより大切な・・・・・・
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