ハガレン

□拗ね愛
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「…おーい、リンさんー」
「……」
「いい加減にしてくれよ…」
「……」

なかなか機嫌が直らない
さっきからこの調子である
何故にこんなことになったのかは
少し前にさかのぼる

リンは楽しみに取っておいた
コンビニの少し高値のするプリンを
スキップしながら学校から帰ったらなんとグリードがプリンを食べているところを目撃してしまったのだ

「あー!!それ俺のプリンなのニ!!!」
「プリン一個でギャアギャア騒ぐなよ」
「楽しみに取っておいたのニ…」
「な、泣くほどか!?」

少し涙目でリンが睨む

「もうグリードなんか知らない!!この食いしん坊!!馬鹿ー!!!」
「あ、おい!!食いしん坊はお前だろ!!」
「知らなイ!!」

ダダダとリンは自分の部屋に走り去っていき籠ってしまった

「ったく、こっちだって知らねーよ」

あきれたグリードはため息をつき
リビングに行きテレビを見に行った

それから何時経ったかして一向にリンが部屋から出る気配がしない
相当拗ねているに違いないと、また大きなため息をつき

「ちっ、仕方ねーな…」

グリードはリンの部屋の前に行き声をかける

「おーい、リン、いつまでそうしてるんだよ」
「……」

返事がしない
まさか腹が減りすぎで死んだか
と思ったが、まぁないだろうと今度は戸を叩く

「リンー」
「……」

もう一度叩く

「……」

だが返事がない
まさかと思い、戸を開けて見ると鍵が掛かっておらずすんなり入れた

「…リン?」

ちらっ、と覗くと
ベッドの上でシーツにくるまっている大きな塊が一つグリードは塊の傍にいき床に座り込んだ

「いーかげん、機嫌直せよ」
「……」
「…わ、悪かったな…その、許してくんねーか?」
「……」
「はぁ…」

そして今に至る
諦めて時間に身を任せようと部屋を出ようとすると
後ろから強い力で止められた

「…リン?」
「…グリード…」

シーツから腕がのびている顔をひょっこりと出して
すこし目が赤い

「悪かったな…」
「……」
「機嫌直してくんねーか?」

リンの頭を撫でる
だが、リンは頬を膨らませている

「…知らなイ、嫌い…」
「声が聞けたらいきなり嫌いかよ…」
「……」
「俺は好きだけどな、リンの事」
「な、なにいってんノ!!」

ガバッと、シーツから抜け出しあたあたと慌てる

「顔が赤いですよー」
「う、うっさイ!!」
「ま、そこが可愛い」
「男に可愛いって、正気カ」
「野郎には言わねーよ」
「じゃあな「リンは特別」
「っ…」
「リン」
「な、何グリード」

グリードはリンの頬に手を添えニヤリと笑った
だが、何が何だか分からないリンは頭の上にハテナがいっぱいだった

「近いんだけド…」
「近くしてんの」
「どーゆことっ……!!」

どういうことなのかと問おうといいかけた口はグリードの口によって止められた

「ん…ふっ…」

長いキス
息が上手く出来なくて苦しそうにグリードの背中を叩く

「んー!!!」
「っは…いてー」
「いきなり何すんノ!!」
「ん?キスだけ「そんなこと分かっとるワ!!じゃなくてなんでしたノ!!」
「好きだから」

スパッと言われると返す言葉がない
リンはしばらく口をパクパク魚のようにしていた

「またやるぜ?」
「っ!!」

慌てて口を手でおさえる

「そんなに身構えんな」
「嫌」
「あらら、嫌われた。嫌われ者は帰りますよ」
「ま、待っテ!!」

突然、大きな声で止める
グリードはくるりと振り向きリンを抱きしめた

「グ…」
「暖っけー」
「…許ス…」
「ん?」
「だから許すっテ、プリン」
「んー」
「だから離れロ」
「嫌だね」
「また拗ねてやル」
「愛情なのにな」
「嘘つけ」
「嘘じゃねーよ」

リンの額、頬、鼻、耳、に雨のようにキスを降り落とす

「ちょっ、くすぐったいってバ…」
「耳まであけー」
「誰のせいだト」
「誰のせいだ?」
「グリードのバーカ」
「今さら?」
「言った俺が馬鹿でしタ」

ドヤ顔をしたグリードをジト目で睨み付けた
リンは拗ねただけでこんなことになるとは思わず、すこし後悔した
それと同時に少し、ほんの少しだけ拗ねて良かったと思っていた

「仕方がないから仲直りしてやル!」
「仕方がないって…お前が拗ねたからだろ…」
「過ぎたことを言わなイ!!〜っ、仲直りの印!!有り難く思エ!!!」
「は?」

リンはグリードの腕を引っ張り口を重ねた

「(ますます可愛いつっーの)」
「ふはっ、ほらおわっ…!!」

口を離し終わりと言おうとすると再度今度はグリードから口を重ねる

「…口開けろよ」
「っ!!ふ…やぁ…っ…」

リンの口を開けて舌を侵入させる
最初は嫌々と舌を引っ込めていたリンだが段々と力が抜けグリードの舌と絡め合った

「あ…ふっ…ぐ、ぐりぃ…ド…」
「そんなエロい目で見んなよ…」
「ふぇ…」

涙目でボーっとしている目をグリードは直視しづらかった

「…は、お預けだな」
「ふ…グリードのアホ」
「アホで結構、さてと、行くか」
「何処ニ?」
「コンビニ、お前も一緒に行くんだぞ?」
「行ク!!」
「なら、ほら」

グリードはリンに手をさしのべた
リンはしばらく手を取るかどうか悩んでいたが
まぁ、いいかと思え
手を取った

「流石に人通りの多い所は離すヨ!!」
「いいぜ?俺が離すかは別だがな」
「手を取るんじゃなかっタ」
「手遅れ手遅れ、ほら、行くぞ!」
「う、うン」

玄関まで走りドアを開けてそとに出た

「拗ねた事に感謝」

計画していたのか分からないが、グリードの言った独り言は小さくてリンには聞こえていなかった


→あとがき







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