DTB
□記憶
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「何が?」
横から少女の声がした。
驚いて声のした方を見ると、銀髪の女の子が座っていた。
「君は…?」
「あたしは銀」
「いん?」
「そう、銀。あなたは黒」
「俺の名前はへい…なのか」
こくっと銀髪の女の子−銀−は頷く。
「黒は記憶を無くした」
どおりで何も思い出せない訳だ。
「君は「銀」…銀は俺の何だったんだ?」
そう聞くと、銀は黙った。
暫くして「分からない」と答えた。
俺も「そうか」としか答えられなかった。
なぜなら彼女の瞳には涙が浮かんでいたから。
分かったことは
俺は彼女を庇って車に跳ねられたらこと
ずっと彼女と共に過ごしていたこと
それだけだった。
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