dream/short ブック

□朝食時の爆弾
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よく言えば趣があり、悪く言えば廃墟同然の城に調査兵団は滞在していた。
現在は朝食の時間である。

人一番綺麗好きなリヴァイは扉に近い、俗にいうお誕生日席に座っていて、私はその右隣。
仕事とはいえ、恋人と一緒に食事できるのは嬉しい。

「おいイレーネ。口にパン屑ついてるぞ」

「え、うそ」

慌てて拭うも、取れた感触はない。
どこ?と聞こうとしたら不意に視界が暗くなって、口の端を生暖かく湿ったものになぞられた。

「取れた」

この人、今、なにをした?

気づけば、他の団員の談笑していた声も消えている。

そんなことは意にも介さずに、皆より一足先に朝食を終えたリヴァイは、食器を下げに扉から出ていってしまった。

バタン、と扉が閉まる音がやけに響いたが誰も何も言えなくて。
無音状態がどれくらい続いただろう、

「…うわあああぁぁぁぁ!」

私の叫び声を皮切りに、食卓は阿鼻叫喚の地獄絵図となった。

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