dream/short ブック

□言葉までは要らない
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恋愛は自由
……自分で言ったその言葉が、重い


他の兵団から調査兵団への異動は少ないが、ないわけではない。最も、前線で戦う実行部隊への異動はほとんど無いといっていい。
今回も補給部隊へ数名異動してきただけだった。
その中の一人、20代前半の可愛い女の子がどうやらリヴァイに好意を寄せているようで、最近よくいっしょにいる場面を見かける。それは大抵の人が見ていたらわかる、わかりやすい行動だった。

「あー、また纏わりつかれてるね、リヴァイ」

完全傍観者の立ち位置から何気なく呟いたのはハンジ。

「ほんと、どこがいいんだろうねぇ」

「…彼女の君がそれを言うの。ちらっと立ち聞きした話では『強くて生きていてくれそう』だからだって。」

そうか。
死亡率が4年で9割の確立の中で生き残っている彼は人類最強の呼び名まで持っている。
意識的か無意識的にかは知らないが、好きになる前提条件に『生きていてくれそう』が入るのだろう。

「女性部下からの評価が『神経質で粗暴で近寄りがたい』。上司として尊敬されているのは知っていても、表立って女性にモテてたところ初めて見たわ」

「あの娘、リヴァイに彼女がいるって知らないみたいだよ」

「だから?『私、リヴァイの彼女なんだけど。彼に近づくのやめてくれない?』なんてどこの性悪女よ。大体束縛するのもされるのも嫌いなの」

「本心はそう思ってるんだ」

そうかもしれない。
だからと言ってそれを出しはしないけど。

「…恋愛は自由よ。これでリヴァイがあの娘になびいて別れたいとか言い出したって、婚約すらしてないんだから別れて終わるだけ」

「イレーネって恋愛に関して面倒臭い思考回路してるよね」

「褒めてくれてどうもありがとう」

リヴァイと名前も知らない女の子が並んで(ハンジ曰く女の子のほうが纏わりついて)いる様子を眺める。
女の子は小柄でリヴァイより背が低く、ふわふわと柔らかそうな栗色の髪をしていていかにも「女の子」な感じ。
並んでいる姿を見るとお似合いと思ってしまい、無駄に自己嫌悪に陥った。
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