dream/short ブック
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待ち合わせ10分前に部屋をでた。兵舎前での待ち合わせなので時間的には余裕がある、と呑気に廊下を歩いていたらいきなり目の前の部屋の扉が開き中に引き擦り込まれた。
「捕まえた!」
いや捕まえたっていきなり何。後輩のペトラちゃんと、見かけたことのある彼女の友人が2人部屋にいた。
「ペトラちゃん?あの、私用事があって」
「大丈夫です、兵長には今から1時間後に待ち合わせ時間変更とすでに伝令済みなので!」
「あ、そうなの」
って勢いに気圧されて納得しちゃったけど。そもそもなんでデートだって知ってるのこの子。
「えーと、で、何かな?」
「常々思っていたのですが、イレーネさんデートなのに普段着すぎます。ジャケット着て戦闘用ブーツに履き替えたらそれもう軍服じゃないですか!せめてスカート履きましょうよ!」
「はあ」
目の前の後輩は、それはもう熱い眼差しをしていて、私との温度差が猛火と冷水のようだ。
「この前班で雑談中にどんな服装が好きかって話になって、兵長がボソッと『スカート』って。イレーネさん兵長の前でスカート履いたことあります!?」
「…ここ数年スカート買った覚えも履いた覚えもないからたぶんクローゼットに入ってないだろうね」
「そうだと思いました。私も見たことないですもん。ですから、調査兵団特別作戦班通称[リヴァイ班]より、私ペトラが中心となって、イレーネさん改造計画を立てさせていただき、実行しました」
「ちょっと待って私改造されんの!?」
「…言葉の選択を間違えました。要するにイメチェンです。でも、女性は服と髪型とメイクで別人になるといいますから」
あながち改造というのも間違いじゃないでしょう?と微笑むペトラちゃん。こ、こんな子だっけ。
「服は私の手持ちから見繕い、班の男性意見も取り入れ決定しました。メイクとヘアメイクが得意な友人も待機してくれています。とりあえず着替えてください」
背格好似ててよかったと言われつつ、丁寧に畳まれた服を渡されたので広げてみる。
トップスは今来ているようなシンプルな白シャツではなく控えめな刺繍が可愛らしいブラウスと、足首が見えるくらいの丈のロングスカート。は、いいんだけど。
「ペトラちゃん聞いていい?」
「なんですか?スカートのウエストは調節できますよね」
「いやサイズは大丈夫だろうけど…何故ピンク」
「可愛いからです」
「…さいですか」
ずばっと即答されて、真っピンクじゃなくてスモーキーなコーラルピンクですからとフォローが入る。
上下を着替え終わると今度は足元に3足の靴が並べられた。
「靴も!?」
「その服にそんな実用性耐久性重視なゴツいブーツ合いません!ヒール履けなんていいませんよ。華奢に見えるデザインのペッタンコなパンプス履いたらいいんです。サイズ同じですよね、ご自身が履きやすいの選んでください」
靴を履き替え終わると椅子に座らされ、いつも最低限の身だしなみとしてしかしないメイクと、基本簡単に纏めるかおろしっぱなしな髪をいじられ始めた。
顔はいろんなものを塗りたくられてるし、髪は巻いたり留めたり大変そうだ。
こうなるともはや何をやっているのかわからない。手品のようだ。
「完成です!」
待ち合わせ5分前、どうやら完成したららしい。
「ええと、じゃあもう時間だから行くね」
ありがとう、と言って立ち上がると、彼女達は似合ってますよ、兵長の反応を是非教えてくださいね、と送り出してくれた。