dream/short ブック

□5000hit記念小説
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【微睡】

自室で座って資料を読んでいたがそのうち眠ってしまった。今何時頃だろう。
浅い眠りは心地よく、やがて脳は覚醒したが金縛りにあったように身体が動かない。身体が疲れているとたまにある現象だ。
このまま本格的に眠ってしまおうかと考えた時控えめなノック音がした。
鍵はかかっていないから急用なら入ってくるだろうと無視を決め込むと、キィ、と遠慮がちに扉を開ける音。
近づいてくる足音は、やがて俺が寝ている椅子の前で止まった。

「リヴァイ」

何の言葉もなく入ってきたのでたぶん彼女だろうとは踏んでいたがやはりそうだった。

「寝てるの?」

寝てるが、正確には身体が動かないだけで意識は起きている。
それにしても今日はよほど意識と身体が繋がってないらしい。目も開けられない。狸寝入りをしているつもりはないのに。
さてどうするかと考えていたら、唇に柔らかいものが触れた。
それはたぶん、まだ幾度かしか重ねていない彼女の唇。

「ふふっ」

今まであんなに動かなかった身体が一気に覚醒した。目を開けると、幸せそうに微笑んでいる彼女がいて、しかしその顔はすぐ真顔に戻った。

「…起きてたの?」

「ああ」

「いつから」

「ノックから」

「寝ているところをお邪魔しました」

逃亡しようとした彼女の服の端を咄嗟に掴む。
そのまま引っ張って膝の上にのせた。
腰に腕を回して後ろから肩に顎を乗せて顔を覗きこむも、首と視線をしっかりと反らされる。

「…近、」

「お前からは初めてだったな」

そのままぐるんと反転させて目の前に立たせた。

「悪くなかった」

だからもう一度しろと言うと、彼女は視線を逡巡させて、やがて先程のように静かに重ねてきた。





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