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□ワク
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リヴァイは酒に物凄く強いと、いつだかリヴァイ班の誰かが言っていた。
「ザル通り越してワク」だそうだ。一滴もひっかかる網目なんてない。
そんなリヴァイは就寝までの僅かな時間、たまに晩酌をする。エレンが見たことない瓶の酒で、それがどのようなものかは判らなかったが、おそらく相当強いものだろうということは想像できた。

「ガキにはまだ早い」
「う……」

リヴァイが少し離れた隙に、興味本位で一口だけ、と手伸ばしたら弾かれた。
大人しく自分用の水を飲みながら、グラスの半分以下になっていた酒を注ぎ足し煽るリヴァイを見る。グラスから減っていく琥珀色の液体と、嚥下により動く咽仏。
大人になったらああやって晩酌したりするのだろうか。とても想像がつかない。他には同期の連中と街の酒場に呑みに行ったりだとか、…目の前の人とも、酒を呑む日が来るのだろうか。

酒瓶を戸棚に並べてからリヴァイはグラスに半分程残っていた酒に口をつけた。今日はもうグラスに入れた分で呑み収めらしい。
エレンも水を飲み干してしまってから今日は寝るかと煽ろうとしたその時。

「いっ…!?」

首が一歩間違えば筋を痛めそうな勢いで反対方向を向いた。抗議も何もする間のないまま顎をつかまれキスをされて、同時に熱く甘いんだか苦いんだかよくわからない味の液体が流し込まれる。

「な、にすんですか」
「一口」

あとは成人するまで我慢しろ。
空になったグラスを流しに持っていくリヴァイの背中を、エレンは顔が熱くなるのを感じつつ睨みつけた。

舌を入れる必要は、ないだろ。

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