dream/series ブック
□〜埋没編〜
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リヴァイがお茶を淹れにいってくれている間、手持ち無沙汰になった私は本棚をあさっていた。
彼の性格を反映したようにきっちりと並べられたタイトルの中で気になったものを引っ張り出すと、思ったよりきつきつに入っていて横にあった本が勢いで一緒に出てきて床に落ちた。
やばい汚したら怒られると、慌てて拾おうと手を伸ばし固まってしまった。
裸で官能的なポーズをとりはにかんでいる女が写っている。俗にいうエロ本。
ここは間違いなく神経質な私の恋人の部屋だったが一瞬で夢を見たのかと錯乱した。
…いやいやリヴァイも男だし。持ってても何もおかしくないし。
というか「彼氏がエロ本を持っていた」という事実より「リヴァイという人物がエロ本を持っていた」というほうが衝撃だった。買うところを想像すると何故か笑える。
「何してるんだ」
「うひょええ!?」
背後から聞こえてきた声に思わず奇声が出た。私の足元には例の本が開いたままで、それに気付いたリヴァイはお茶をテーブルに置き、その本を拾い上げ眉を顰めた。
「この本は何だ」
「貴方様の本棚に入っておられましたが」
チッと一つ舌打ちをしてそれを屑篭に投げ入れ手をハンカチで拭いた。
「え、捨てるの?」
「俺が買ったものじゃない」
「じゃあ誰の」
「階級が変わって部屋が移動になったとき忙しくてあらかたの荷物の移動は部下に任せた。勿論後から自分で掃除はしなおしたが…。棚は備え付けだ、前にこの部屋にいた奴のが混ざったんだろう。タイトルまではチェックしていなかったんでな」
「あー他の本より一回り小さくて埋もれてたもんね背表紙。私も引っ張り出すまで気付かなかった」
あれ、ちょっと待って。
「今『俺が買ったものじゃない』って言ったけどリヴァイが買ったのもあるの!?」
「そんな好奇心丸出しの目で見るな。たとえ持っていたとしてもお前には見せん」
「カバーだけ通常本?袋にいれてクローゼット?ベッタベタにベッド下とか!」
「大体このご時勢、ああいう類の本は公では発禁だか禁書だかの扱いだろう。中古なら出回ってるかもしれんが誰がどんな目的で使ったかわからんのに買うか気持ち悪い」
ちぇっ、面白くないなと言ったら他人のプライベートを面白がるなと頭を小突かれた。
次リヴァイが部屋移動する時は手伝い名目で探してやろうと私は密かに誓った。