dream/series ブック

□〜目撃編〜
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裏通りのすこし入り組んだ場所にある本屋。
品揃えが少し変わっていて面白く、見つけてからはちょくちょく通うようになった。
この日は午後から時間が空いたので何か買おうかと物色していたら、よく見知った顔が店内に入ってきて声をかける間もなくそのまま奥へ直進していった。
私の見間違えでなければその人物は私の恋人である兵士長のはずなのだが、奥の本棚って確か。
ものの1分もしないうちに戻ってきたリヴァイが小脇に抱えていたのは成人でないと買えないアダルトな表紙の本。カウンターでのやりとりを聞く限り購入冊数は3冊。
うわあ。自分の彼氏がエロ本を買うという凄い現場に居合わせてしまった。今日リヴァイの部屋に行って探したらあの本が出てくるんだろうか。
そんなことを思いつつそ知らぬ顔で本棚を物色していたらこちらに気付いたらしい、こっちへ向かってくる。
見つかった!…や、見つかったって私何にも疚しいことしてないし。むしろ気まずいのは向こうじゃないの?

「ご機嫌麗しゅう、兵士長様。よく私がいることがおわかりになりましたね」

「こう広くない店内で自分の恋人もわからない程注意力散漫になった覚えはない」

「ですよねー」

「このまま街にいるなら夕飯は外で一緒に食べるか?俺は一度兵舎に戻るから待ち合わせることになるが」

あれ、なんか結構態度普通?見てたのを気付いてないのか、気付いてないふりをしてこのままやり過ごそうと思ってるのか。後者かな。だって兵舎にわざわざ一度戻るってその本置きにいく以外理由考えられないし。

「じゃあ、大通り入り口の銅像前で。一度兵舎に戻るなら1時間半後ぐらい?」

「わかった」

そのまま出口に向うと思ったら、リヴァイは手に持っていた例のエロ本が入っている袋を目の高さまで掲げた。

「ちなみにこれはカードで負けた罰ゲームだ。手前のを適当に引っ掴んだ」

残念だったな、俺個人の買い物じゃなくて。

くるりと背を向けて行ってしまった彼に一杯喰わされたような気がして、私は意味もなく悔しい思いに囚われたのだった。

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