dream/series ブック

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他班より一足早く古城に到着し、掃除を始めたリヴァイ班の1人、オルオの担当場所は1階出入り口付近から廊下にかけてだった。
あらかた掃き終えて細かい砂埃を外に掃き出していると、馬がこちらへ向かって駆けてくる音を耳にした。
他の班かとも思ったが、掃除している間にほとんどの班が城に入ってきたはずだし、聞こえる蹄の音はおそらく一騎分である。
伝令か何かだろうかと、どんどん近づいてくる音が気になり一時的に手を止めた。
直後入ってきたのは予想通り一騎だったが、跨っていたのは伝令の人間ではなく、見慣れない顔の女だった。
年齢から新兵ではないだろうということは推測できたが、平均1ヶ月に1度ある壁外調査で、その都度班編成が変わる中、同胞の顔はほとんど覚えている。
そんな実情の中で、顔も見たことのないその女が調査兵団のジャケットを着ていることにオルオは警戒したが、女は微塵も気にせず手元の地図らしき紙とオルオの顔を何度か交互に見た。

「ここって旧調査兵団本部?」

「そうだが」

やった、着いた、と呟きながら馬を降りる。

「リヴァイ兵士長いるよね?どこにいる?」

「お前は誰だ?」

ただでさえ巨人化するというわけのわからないガキを抱えているのに、これ以上余計な手間をかけさせてたまるか、と思うのはリヴァイの第一崇拝者だと自負があるオルオからしたら当然だった。

「そんなに警戒しなくても。
つい先日調査兵団に異動してきました、イレーネ・シュミットです。
あ、異動届見る?」

ごそごそと取り出された紙をオルオが受け取り見ると、確かに異動の旨と、見慣れた団長エルヴィンのサイン、幾度かみた総統のサイン、憲兵師団長のサインが記されていた。

「…確認してくる」

じゃあその間馬繋げとこー、なんて呑気に言うイレーネを尻目に、オルオは異動届と箒を握ったまま駆け出した。


「兵長!」

城内を駈けずりまわったらしい、若干息を切らしてオルオがリヴァイを見つけた部屋にはペトラとエレンもいた。

「なんだ騒々しい」

「なんか怪しい女が来てて…いや異動届は一応あるんですが…」

オルオがリヴァイに預かってきた異動届を渡した。

「怪しい女って?」

リヴァイの代わりにペトラが訝しげに聞く。

「憲兵団から異動してきたらしい」

「憲兵団!?」

ペトラとエレンが素っ頓狂な声を揃えて上げる横で、リヴァイは渡された異動届の一点を見つめていた。
憲兵団、の部分ではなく、異動してきたその人物の名前を。

「久しぶり」

背後から聞こえた声にオルオが飛びのくと、その名前の主がいた。

「12、3年ぶりくらいか。こうやって話すのは」

「そうね」

リヴァイの記憶より大分短くなった髪と、昔より大人びた声で、佇む彼女は微笑っていた。





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