dream/series ブック

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夕食後、集まっていたリヴァイ班に、イレーネが追加で班に加わるということがリヴァイから伝えられた。
夕刻あの場にいなかったエルドとグンタも憲兵団から異動してきたことは伝えられていた。
しかし、いきなり班に追加されるということは全員初耳で、そしてすぐに納得することはできなかった。

「その人は兵長が選んだんですか」

「いや、奴が持ってきた異動届に付いていた、エルヴィンからの書状による命令だ」

「兵長の知り合いみたいですが、その、元々憲兵団に所属していたと…班に加えて問題ないのでしょうか?」

そう疑問を口にしたのはオルオだったが、エレンを除く4人の部下が、この時期に移動するという不審感と、兵として実力があるのかという懸念を持っていた。
詳細にではなくとも、憲兵団の内情を彼らも把握している。

「……あいつの訓練兵時代を少し知っているだけだ。その時の実力はたいしたもんだったが…今使えなかったら外す。
それについても許可されている」

「つい最近、憲兵団内で大量の処分があったようですが」

そう口をはさんだのはエルドだ。

「いきなり、大勢の人間が降格、または異動させられたそうです。もしかしたら彼女も」

その推論を聞いて、班員の目に猜疑の色が浮かび、その場が沈黙に包まれた。

「残念、はずれ」

その沈黙を破ったのは話題の中心になっていたイレーネ本人だった。
リヴァイ以外の全員が驚いて入り口に立っているイレーネを見た。
この静かな夜に、話していたとはいえ誰も気付かなかったが、

「立ち聞きはやめろ、趣味の悪ぃ」

扉に一番近いところに座っていたからか、リヴァイは気付いていたらしい。

「なんか私のこと話してたみたいだし、入りづらくて?」

「それが本当なら常人が一番入り辛い状況で入ってくるわけねぇだろうが」

「はは…ばれたか」

長めの襟足を撫でつけながら、イレーネは視線をリヴァイから外し、班員へと移した。
緊張で体を強張らせる5人を余所に、イレーネは楽しそうに話した。

「私の異動は私の希望でよ。
異動するには時期が微妙だし、私自身ちょっとややこしいこともあってね。
憲兵の怠惰っぷりを集められる限り集めて報告して、異動のための材料にさせてもらったってわけ」

どうせ左遷させられるなら万年人員不足の調査兵団への異動希望にしたら通るだろう、なんて無茶苦茶なことを実行し、そしてそれを楽しそうに話す目の前の人物に、リヴァイ班の面々は、内心ドン引きだった。





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