dream/series ブック

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窓から差す朝日は夜が明けたことを告げている。
普段、兵として規則正しい生活を送っているエレンは、光が差すほうをげっそりとした面持ちで見た。
エレンの正面には巨人について夜から今まで熱弁を振るい続けるハンジ、その隣で机に突っ伏して眠っているイレーネがいた。


昨晩のこと、テーブルを囲み今後のことを話していたリヴァイ班の面々を、席には着かず壁にもたれてイレーネは見ていた。
班に加わったイレーネだったが、同じテーブルを囲まず俯瞰している。
その様子は、現在の班員との距離を表しているようにも見える。
エルド、オルオ、グンタ、ペトラの4人は、先ほどのこともあり、うっすらとした不信感、警戒心のようなものをまだ持っていた。
エレンは兵団の内部事情まではまだ把握しておらず、憲兵団から異動って変わってるなとは思ったものの、イレーネと他の先輩兵士の差異をあまり見出せていない。
そしてリヴァイのイレーネに対する態度は、極普通に見えた。
昔の知り合いのようだが、親しい様子も不仲な様子もなく、他の兵士に対するものと変わらない。それが逆に、不自然にも思えた。

「やあ、お城の住み心地はいかがかな」

そういいながら食堂へ入ってきたハンジ見て、イレーネは背中を持たれていた壁から離した。

「…ハンジ?」

「え…イレーネ!?なんでここにいるの?」

「異動してきたの!ハンジ、夕食のとき食堂にいたっけ?」

「持ち込んだ資料や機材が多くてね、到着したのも遅かったし、休憩しつつ部屋でとったんだ」

「だから見かけなかったのかー。到着といえば私も迷っちゃってさ、予定より結構遅れちゃって」

先ほどとは打って変わって、親しげな雰囲気で話している。

「迷ったって地図持ってなかったの?」

「……持ってた」

「持ってたのに迷うってっ…!」

「笑わないでよ!この辺来たことなかったんだししょうがないでしょ!途中ちょっと道からそれただけ!」

「あの…二人はお知り合いなんですか?」

「ああ、同期なんだよ、訓練兵時代の」

「てめえらうるせぇ。ハンジ、なんか用があるからきたんだろうさっさと話せ」

ペトラの質問も、久々に会ってはしゃぐ二人を黙らせたリヴァイによってそれ以上続かなかった。
その後エレンの巨人化実験を行うことが決定して、延々とハンジの巨人講義が開催された。
イレーネは再会したことが嬉しかったようで、ハンジの隣に座ったが、訓練兵時代に座学で教わった話になった途端寝た。
新兵であり、まして自分から聞きたいと言い出した手前、エレンにイレーネと同じ真似ができるはずはなかった。





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