dream/short ブック
□ImageChange!
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女性専用に作られた形のブラウスはいつものシャツと形は似ているのに着心地が違う。スカートは纏わりついてきて鬱陶しいし、ペタンコのパンプスは足元が頼りない。
顔には塗られた化粧の皮膜感で重く、髪に至ってはもうどうなってるかわからないのでうかつに頭を触れない。
そんな状況だけれども、あんまり間抜けに驚いた彼の顔を見て思わず噴出してしまった。
「リヴァイさん口が半開き」
「…よく化けたもんだな」
「化けたとか失礼な…と言いたいところだけれど私もそう思う。リヴァイ班の皆さんで立てた『改造計画』だそうよ。ペトラちゃんが中心になって」
スカートがお好きなそうで、とニマニマしながら言うと、苦虫を咀嚼しているような顔になった。
「あんなちょっとした雑談に反応しやがって」
「それだけ部下に慕われてるってことでいいんじゃない?」
じゃあ行きますかと歩き出すものの、リヴァイが動かない。一歩分空いた距離から、上から下まで見られている。
「そんなに見られると恥ずかしいんだけど…似合ってない?」
化けたものだなって、それが良い方か悪い方かにはそういえば聞いてなかった。服が可愛くても似合わないと意味ないし。
「悪くない、似合ってる」
「あ、そ、そうですか」
この男の口からそんなストレートな褒め言葉が出るとは思ってなかったので動揺するのは仕方がないと思う。
「普段からそういう格好しないのか」
しかもさらに掘り下げるの!?
「これ全部借り物だから…普段自分で買う服を選ぶ時にこんな可愛らしいのは選択肢に入ってないかな」
「入れとけ」
そのまま歩き出したリヴァイに一瞬遅れてついていく。
帰ってから、急に歩き出したのはきっと照れ隠しですよ!とペトラちゃんに報告して指摘されてから気付いた。そういえばそれ以降あまり視線が合わなかったのに見られているような感覚はあった。
そう思い返して、たまにはスカートをはくのもいいかもしれないと思った。
本当に、たまにでいいけど。