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□兄さんだけど愛さえあれば関係ないよなっ
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(リヴァエレ兄弟パロ)

この歳になってこれだけ兄弟仲がいいというのは周囲の話を聞いているとどうも珍しいらしい。
エレンは高校も大学もリヴァイと同じところを選択した。
そして大学から一人暮らしを始めそのまま就職したリヴァイと同居となった。
「だって兄さんが行ったとこだし。どんなとこか気になんじゃん」
お前は追っかけファンか。

でもこの弟は気づいていない。純粋に慕っている兄が自分を性的な目でみていることを。自制心が人一倍あり兄弟という立場もしっかり自覚しているリヴァイは、周囲にも勿論本人にも悟られることなく密かに想っていた。
いつか。いつか他の人間を好きになれたら忘れられるだろうか。
それとも一生忘れられないまま過ごしていくのか、それはリヴァイ本人にさえわからなかったが、どういう未来を迎えるにしてもこの想いを伝えることはないと思っていた。


その日はどうも体調が悪かったのと、丁度有給が溜まっていたので1限から授業のエレンを送り出した後会社に休みの連絡を入れた。休んだのはどうやら正解だったらしい
。電話の後一気に身体がだるくなり、熱を測ると38℃を越えていた。
もう一度寝巻きに着替えて薬を飲み、枕元に水を置いてベッドに潜り込んだ。

リヴァイが次に起きた時にはもう窓から西日が差し込んでいた。
半日寝ていたおかげで大分身体は楽になっていた。おそらく微熱程度には下がっているだろうと思いつつ喉が乾いたので枕元の水をコップに注ぎ飲み干す。

ギシ…

隣りのエレンの部屋から微かに音がした。おそらくベッドに腰かける音。講義が終わって帰ってきたのだろうが、まだいつもだとリヴァイは帰っている時間ではないのでたぶん居ることを知らないのだろう。

「ぁ…」

薄い壁越しに小さく聞こえたその声は明らかに艶を帯びていてリヴァイの思考を一時停止させた。
息遣いまではさすがに聞こえなかったが、時々声が漏れ聞こえる。
こんなことは初めてだったのでもしかしたら、というかたぶんいつもは声を出さないようにヤッているのだろうが、今日は家に一人しかいないと思っているからかもしれない。
リヴァイは内心勘弁してくれと重い溜め息を吐いた。
実家で我慢して、大学進学を機にようやく離れられたと思ったら、今度は同じ大学に進学してきて同居。両親も本人も普通の家族だという認識しかしていないから強い拒否はできなくて、けして手を出してはいけない弟と二人暮らしだなんてどんな生殺しだと毎日毎日耐えて暮らしているのに。
でもこうなってしまったらもうリヴァイには狸寝入りをする他に手はなかった。
『普通の兄弟』なら、気付かないフリをするしかないから。
しかしその一瞬後、事態は180度変わる。

「にい…さん、」

その声は今までで一番大きく、ベッドに寝転んだリヴァイにも勿論聞こえた。ほとんど脊髄反射で飛び起き部屋を出てエレンの部屋の扉を、普段ならノックぐらいはするのだがそれもせずに勢いよく開けた。
なかでは予想通りベッドに座っていたエレンがただただ驚いた顔でリヴァイを見ている。
かろうじてチノパンは履いたようだが、ベルトはしていなかったし、ボタンやチャックまで閉めてる余裕はなかったようだ。

「兄さん、いたんだ……」
「朝から体調が悪くてな」
「あ、うん悪そうだなと思ってたけど兄さんなら会社行きそうだと」
「丁度有給も溜まっていたし熱も上がったから休んだ。寝たらあらかた下がったが」
「そ、そう……」

物凄く気まずい空気が流れる。
もしかしたら聞き間違いか、はたまた夢だったかも知れないとリヴァイは思い始めていたが、自分を乞う声が耳にはっきりと残っている。

「お前、俺のこと好きなのか」

違ったら、流されて終わるだろう。兄弟の自慰行為の最中だと気付かず入ってしまったが何事も無かったように振る舞う、という演技でもすればいい。
しかし眼前のエレンの顔色は明らかに悪くなりどちらが病人かわからないぐらいになった。

「……そうだよ。気色悪くてごめん。兄弟に、恋心なんて」

俺、家出るから。兄さんの前から消えるから。
今エレンの内心はおそらく動揺と、兄からどんな反応が返ってくるのだろうかという恐怖に支配されていることだろう。
兄の気も知らずに。
だがそんな様子の弟さえ可愛いと思ってしまう。

「俺は、今までお前で何回抜いたか数えられねぇ」
「…え」
「気色悪いか。…お前が好きだエレン。兄弟として、一人の人間として」

こんなこと、言わずに墓場まで持っていく予定だったんだがな。
そこまでいうと、エレンの顔が泣き笑いのように歪んだ。

「こんなことって、言うなよ。俺だって兄さんが好きだ。」

ああそうだなさっさと伝えとくべきだった。
嬉し泣きで号泣する奴なんか、初めて見た。

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