Wonder Alice
□心の闇
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「ねぇ、汀目君。これから私が話す事は何ひとつ嘘偽りのない、私自身の話だよ。ただ、信じる信じないは貴方の自由。それだけは、覚えておいてね」
私はそう前置きして汀目君に話し始めた。
鬘とカラコンを外して。
「私ってね、汀目君。化け物、なんだって。この髪と目の色もそうだけど、脳の発達も他の子に比べると異様に早かった。記憶力もめちゃくちゃ良いしね。」
「生まれて直ぐに全ての言葉を理解して、3歳には読み書き。
8歳にはER3システムに合格して今では世界中の言葉が話せる。その上、特殊能力持ち。
私がさ、前に言ったじゃん?あまり家には居たくないって…
それね、親がさ、私を見て怯えるんだよ。“化け物がっ!”ってね。
あまりに私が怖すぎて包丁で刺されそうになった事もあったよ。
ーーー酷いよね。最初は“天才児だ”とか言って喜んでたくせに。
何度も何度も殺されそうになっては私の特殊能力で助かった。
…で、遂に昨日の夜、父さんまでもが母さんみたいに狂って、父さんは母さんを、母さんは父さんを殺したよ。
なにも、娘の目の前でやることないのにね…?ご丁寧に借金まで残してくれたよ。
今まで無自覚だったけど、私はいかに自分が異端で異状で異様で異形で異能で異常で異質なんだってことが分かったよ。
ーーーなんて、滑稽だね」