満月

□氷詩12
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七幕 少女の捧げる最後の祈り










櫂たちが戦場で激闘を繰り広げていた時、祈りの間では今まさに儀式が行われようとしていた。

アイチとソウルセイバードラゴンの二人は儀式用の魔法陣の中央に立つ。二人の力を感じ取った陣はぼうっと淡く光り始めた。
「いきますよ、アイチ。準備はいいですか?」
「...はい、大丈夫です。」
アイチはソウルセイバードラゴンを見上げしっかりと頷いた。それを見てソウルセイバードラゴンは後ろにいた二人に声をかける。
「後のことは頼みましたよ。それからブラスターブレード。頼んでいたことどうかお願いしますね」
「承知致しております。...ソウルセイバードラゴン様、アイチ様。クレイをお願いいたします。」
ブラスターブレードは剣を突き立て祈るように膝をつき騎士としての正式な礼の形をとった。エイゼルも同じように礼をする。
「えぇ。それでは....」
「あっ、お母さま。ちょっとだけいいですか?」
「..どうぞ。」
アイチはブラスターブレードとエイゼルの方を向く。
「エイゼル。あなたには私はいつも勇気づけられてばかりだった。私すごく助けられてたよ、ありがとう」
「姫様...」
「それから、ブラスターブレード。子供の頃からずっと私の一番近くで私のことをずっと守ってくれて....本当にありがとう。」
アイチの言葉にブラスターブレードは剣を握る手に力を込めた。
「あなたは私の勇気の証。あなたが傍にいてくれたから私頑張れたんだよ。本当に.....本当にありがとう」
「.....もったいない.......お言葉です...」
ブラスターブレードはアイチからの感謝の言葉を必死に噛み締めていた。主からの最後の言葉を。
「二人とも......元気でね。」
二人への言葉を言い終えるとアイチは背を向けた。それを合図に陣の光が一層強くなる。その光は徐々に強くなっていきやがて二人の姿を飲み込んでいく。そして、一瞬で光が強く光り収まるとそこにはもう二人の姿はなかった。
アイチたちのいなくなった祈りの間には未だ礼をしたままのブラスターブレードとブロンドエイゼルだけが残された。
「ソウルセイバードラゴン様.....姫様........」
二人はアイチたちがさっきまでいたところをじっと見つめていた。
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