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□誰も報われない話
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 それはとってもとっても蒸し暑い夏の
 日。僕は公園で君とアイスを食べなが
 らたわいもない話しをしていました

 「アマイモンは夏好き?」

 「んー、僕が好きなのは真弓です。
 真弓はどうなんですか?」

 「え、まぁ、私は夏嫌いだな」

 「そうですか。なら真弓も僕が好き
 ということですね、じゃあさっきから
 真弓に撫でられてるその猫、邪魔な
 んで殺していいですか?」

 何故か君の膝の上にはこの公園に住み
 着いているらしい野良猫がいて、図々
 しくも膝に悠々と座っている猫に苛っ
 とする。ライバル心剥き出しで猫を睨
 み付けていれば困ったように苦笑いを
 浮かべる君。とうとう僕の睨みが効い
 たのか突然猫が膝から飛び降りて車道
 へ走り出す

 「あっ、そっちに行ったら危ないよ」

 猫を追い掛けて行く君の背中をアイス
 を食べながら僕も追い掛ける。君が車
 道に飛び出した瞬間、信号が変わって
 僕が手を伸ばすよりも早く目の前を大
 きなトラックが君を一瞬で浚っていっ
 た
 ──どしゃっぐちゃぐちゃ…

 辺りは一面血の海で、噎せ返る程の甘
 い血の匂いと無惨な君の姿に口元を手
 で覆い目を見張る。僕は目の前のこと
 が信じられずに放心状態でいるとふと
 車道の向こう側にいるはずのないもう
 一人の僕がいて牙をちらつかせながら
 笑って僕に言ったんだ

 「嘘じゃないですよ」



 ─がばり、
 理事長室の大きなソファーで目を覚ま
 す。身体中が汗ばんでいて気持ちが悪
 い

 「あれは…夢?」

 兄上は仕事なのかこの部屋には僕一人
 だけあぁ、悪魔が悪夢を見るなんて笑
 えない。時計を見れば昼過ぎで君との
 待ち合わせを思い出す、準備して窓か
 ら外へと飛び出した

 ─なんでしょう、この展開…
 僕は両手にアイスを持って君は膝に野
 良猫を乗せて…これではまるで夢の中
 と一緒。僕は夢を正夢にしたくない一
 心で猫が君の膝に座ることを我慢して
 急いでアイスを食べました

 「そんなに慌ててどうしたの?」

 「むぐむぐ…っ、別になんでもありま
 せん。それよりも兄上の部屋でゲーム
 しましょうっ」

 君の手を掴んで公園を出る。うん、こ
 れなら正夢になんてならないで済む。
 そんなことを考えながら歩いてたから
 周りの声や視線に気が付かなかった。

 ─がしゃんっぶちぐしゃぐしゃ
 僕に引っ張られるように斜め後ろを歩
 いていたはずの君に鉄柱が突き刺さる
 周りの悲鳴を耳にしながら僕の手から
 離れて血まみれの君を見る、またこれ
 も悪い夢…?そんなことを思っていれ
 ば僕の横をまたもう一人の僕が通り過
 ぎる。

 「これは夢ではありません」

 頭痛と目眩で眩む視界の中で鉄柱に刺
 された君が笑ってる気がした


 あぁ、また助けられなかった…


 それから何度も幾度と無く君は僕の目
 の前で死んでいく。何故?どうして?
 色々なことを試しても君は必ず死んで
 しまう…あれから何十年同じ夏の日を
 繰り返しただろうか、

 「まだ試してないことがあるじゃない
 か…」

 今日もまた僕と君は公園でたわいもな
 く過ごしてる。此処までは何時も通り
 この後君は…猫を追い掛ける君を僕は
 追い掛ける。此方に向かってくる大き
 なトラックを横目に君が車道に飛び出
 す寸前君の手を掴んで押し退ける。
 僕がトラックにぶつかる瞬間の君の表
 情、とっても面白いです。でももっと
 面白いのはもう一人の僕が驚いていた
 あの表情

 「ざまーみろですよ」

 視界が真っ赤に染まって何も見えなく
 なったけど、もう君の死体を見なくて
 済むと思えば安心出来た。僕は悪魔、
 地の王様です。こんな簡単なことで死
 ぬわけないじゃないですか。でも何故
 だろう…僕、今とっても眠いんです。
 僕の何かが沈んでいく気がした



 ─また、ダメだったんだ…
 彼女はベッドから汗ばんだ上体を起こ
 して呟いた。そんな彼女のもとには一
 匹の真っ白な犬、ピンク色で白い水玉
 のついたリボンを付けてワン、と一声
 鳴いてうずくまる。そんな犬を見つめ
 れば小さく笑われたような気がした





─────
はい、意味不明ですね
カゲロウデイズを参考に

アマイモンと彼女が両想いなのが気に入らないメフィストさんが意地悪をした模様です…´`
最後のわんちゃんは勿論メッフィーww

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