MONOMANIA

□僕の恋人
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反応している事を悟られないように若を抱きしめる。
胸が熱くなって、心臓がバクバク言っているのが自分でもよく分かった。
どうしよう……若に聞こえちゃっているのかもしれない。
抱きしめた腕を背中から腰に掛けて摩るように滑らせると、腕の中の身体がビクリと揺れた。
若はとてつもなく身体に触られるという行為自体に弱い。
落とすことなんて簡単に出来る。
「ちょっ……おい・・・…鳳!!!」
焦っている若の声。
切羽詰った若の声程、俺を煽るものはないと思う。
俺にはそんな趣味はないけれど、聞かせたいとも思う。
世界中の皆に。
いつもの若を知っている人がこの若を見れば驚くと思う。
それだけ、俺と一緒にいる若は可愛くて。
あぁ………顔が緩む。
鼻腔を擽る若の匂いに顔が火照ってくる。
「若、くち開けて」
俺の言葉におずおずと若は口を開く。
開いた唇を舌で舐めて擽ると、若の身体が面白い程跳ねた。
掌で背中を摩りながら若を落ち着かせる。
「……鳳ッ……」
キツク掴まれた肩が痛い。
「若、舌だしてよ」
俺の言葉に若はおずおずと舌を出してくれる。
それを舐めると腕の中の身体が強張った。
ちゅくりとお互いの口から音がする。
若の顔を見ると、頑なに目を閉じていて。
正直可愛いと思った。
同じ男なのに。
歯で柔らかく噛むと、若の手が俺の腕に爪を立てた。
猫みたい。
お返しとばかりに少し力を入れる。
途端に爪の力が弱まって。
驚いたのか目がまん丸。
視線が合って。
若は恥ずかしそうに目を瞑ってしまった。
「……っう…ん……」
滲み始めた涙に。
愛しい気持ちが溢れる。
噛むのを止めて舌を擦り合わせるようにすると、若の声が上がる。
「っや……」
決して高いとはいえない声。
だけど興奮する。
「……脱がすよ」
呟いた声は、自分でも思う程みっとも無く掠れていた。
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