MONOMANIA

□僕の恋人
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そろそろと、指を移動してボタンに触れる。
若は、俺の手元をずっと見ていた。
いつもなら、自分のボタンだったなら、そんなに時間なんて掛からないのに。
何で、好きな子の物だとこんなに時間が掛かるんだろう。
指が震えて上手くいかない。
俺の緊張が伝わったのか、若の指が俺の指に掛かった。
「…うわ!」
驚いた。
若の指が俺の手を包み込みながら自分でボタンを外しにかかったからだ。
どうしよう。
こんな積極的な若はあんまり見た事がない。
「……大きい声を出すな」
ボソリと若が俺を嗜める。
「…ぅ……うん…」
ヤバイ。
顔が火照る。
若は時々、もの凄く積極的な時がある。
不意打ちでやってくるから堪らない。
「お前…、息荒い……」
若がボソリと言う。
知らないうちに呼吸が儘ならなくなっていたみたいだ。
細くて冷えた指先が。
俺のゴツイ手の上にある。
やんわりと握られて。
それだけの事なのに。
酷く興奮した。
最後のボタンを外し終わると、若の白い肌が露になる。
ヤバイ……鼻血出そう・・・。
若の指が、今度は俺のシャツに掛かる。
うわ〜うわ〜……こんな積極的な若ってあんまり見たことないよ!
あまりの事に所在の無い腕が、床の絨毯を撫でていた。
俯く若は、とても可愛い。
一生懸命に俺のボタンを外している所が堪らない。
俺みたいに、指が震える事なく若はシャツのボタンを外し終えた。
服を全て脱ぎ終わらないうちから抱き合って。
纏わり付いて動きを拘束するシャツに舌打ちしながら。
勢い良く乱暴に脱ぎ捨てた。
「……鳳…ッ……」
焦る若の声。
ゴメンね。怖がらせて。
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