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□自称「熱血イケメン教師」ときたら…
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当然、学校に行くまで何も起こらなかった。
もっとも、ブン太は一人でホラー映画のヒロイン気取りだったけど。
例えばマンションを見上げれば。
ブ「おい幸村君、あれ見ろって!ベランダで死体が踊ってる!」
「白いシャツ干そうとしたおばさんの体に、風に煽られたシーツが巻き付いてるだけでしょ」
犬と擦れ違えば。
ブ「璢唖!今の人面犬!」
『ただのマルチーズだね。模様のない犬が人面犬に見えるほうがオカルトだし』
図書館の前を通れば。
ブ「乙女の像が泣いてる!」
『だーっ!あれは、目の下にちっちゃな葉っぱがくっついてんだよ!しかも乙女の銅像じゃなくて二宮金次郎でしょ!何だよ乙女の銅像って!』
というわけで、次々と起こる超常現象を切り抜けて、ウチ達は無事に教室に到着。
と思ったら誰かが近づいてきた。
『「「おはよう」」』
仁「珍しいメンバーじゃのぉ。それより大丈夫じゃったか?ブンちゃん」
赤「おはようございまっす!怖いこととか起こんなかったすか?」
ブ「それが死体は踊ってるし、人面犬はいるし、もう超常現象の連続だよぃ……」
あっきれた。
まったく人の話聞いてないんだから。
ブ「でも、璢唖と幸村君がいてくれたから、大丈夫だったぜぃ」
誰が一緒でも大丈夫ですよ。
けど周りで話を聞いていた人達は、うんうん頷いてる。
挙句の果て、柳がいつもの無表情で近づいてきた。
蓮「おはよう。さっそくだが璢唖にお願いがあるのだが」
え?あの柳がウチにお願い?
柳「おはようございます。璢唖さん、貴女に『怪奇現象究明委員会』の委員長になっていただきたいのです。」
『おはよ。蓮二に柳生。てか、委員長?』
蓮「丸井から聞いたと思うが、最近このクラスの皆が妖しい現象に合っているんだ」
このクラスの人達?
え?ブン太だけじゃないの?
蓮「それで、こういうのは璢唖が詳しいと思ったんでな」
はあ。
でも、こういうことで頼られるのは良いことなのかどうか、ちょっとビミョー。
赤「お願いっすよ璢唖さん。学校の階段が起きるなんて俺怖いっす!」
赤也…お前可愛な。
柳と柳生と可愛い赤也に頼まれたら断れないよね…。
と、そこへ自称「熱血イケメン教師」が入ってきた。
先「よっ、みんな、おはよう!今日も一日頑張ろうなっ!」
げんなりしながら席に着くみんなを、先生は見回してる。
それが出欠確認。出席簿の名前なんて、読み上げたことなんてない。
やがて、先生の目がウチの斜め後ろで止まった。
先「おっ、目から汗が流れてる奴がいるぞ」
は?目から汗?
そう思ったときヒック、ヒックと左斜め後ろから、しゃっくりをあげるような声が聞こえた。
目玉をえいっと左に寄せると、横綱が泣いているのが見えた。
勿論、横綱ってのはあだ名。本名は岩田大五郎。
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