゚・。+☆+。・゚黒魔女゚・。+☆+。・゚

□黒魔女デビュー!
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というわけで、ウチは可笑しなコートを着て夜の学校へ行く羽目になった。
集合場所は、学校裏の児童公演。
時間は八時。
すっかり暗くなってるし、通行人のいない細い路地を選んで歩いたからいいようなものだけど、でも、とてつもなく恥ずかしい。
それに、いずれこの格好はブン太に見られるわけだし……。



ブ「おう、璢唖っ!」



ブン太のシルエットが、ちぎれんばかりに手を振っている。
ウチが近づいて行くとブン太ったら手を挙げたまま、固まった。
ほら、やっぱり変な格好だと思ってんだよ。



ブ「璢唖、そ、その格好……」


『変っすよねー。やっぱり脱ごうかな・・・・・・』


ブ「感動〜!!」


『へ?』


ブ「やっぱり、璢唖だよな。ただのオカルトマニアじゃねぇ。もう、本当の黒魔女みたいだ」



いやまぁ、本当の黒魔女にさせられてる最中だけど。



ブ「俺さ、二人で学校の怪談の現場に行くなんて、本当は怖くて仕方なかったけど何か俄然、勇気湧いてきたぜぃ。璢唖なら絶対解決出来るって!!」



それって、ウチ褒められてるのか?



『じゃ、兎に角、学校に行こうか』



ウチはブン太を連れて学校の正門に向かった。
黒い鉄の門がピタっと閉まってる。ウチが門に手を伸ばすと、ブン太が飛び上がった。



ブ「璢唖、正門は駄目だろぃ。鍵が掛かってんじゃね?」


『いつもはね』



この学校は夜になると機械警備になってて、無理に忍び込めばアラームが鳴るようになってる。
でも、違うんだな今夜は。



『鍵は掛かってないし、アラームも鳴らないよ。今夜は機械警備は故障中なんだよ』



ウチはしらっとして、門を押し開けた。
闇の中に浮かぶ黒い校舎の何処からもアラームの音はしない。



ブ「す、すげーな……」


『別に凄くないよ (これ幸村がやったんだし) 機械警備が壊れたから、今夜は臨時で松岡 (あんな奴、先生なんて一生呼ばねぇー) が宿直をやらされてんだよ』


ブ「璢唖、すげー調査能力だな。柳並みだぜ」



違う。
これも、幸村の作戦の一つ。
学校の怪談と松岡に、黒魔術で対抗する為のお膳立てをしてくれたわけ。
でも、ここからはウチの力が試される。
ああ、上手くいくんかな?



『んで、ブン太。不思議な事が起こる場所って何処?』


ブ「じゃ、順番に行くぜぃ。まずは怪談」



ウチ達は暗い校舎に向かった。
キィー……。
昇降口の扉が軋む。



ブ「ひっ」



ブン太がウチにしがみつく。
ウチもブン太にしがみついた。
だって、怖いし。
いつもは生徒達の声がワイワイしてるから気にならないのに、しんと静まりかえってる今は、全てが怪奇って感じで……。
リノリウムの階段を上がっていくと、ヒタヒタと足音が木霊する。



ブ「ここだな。この二階から、俺達の教室がある三階までの階段が可笑しいんだ」



ブン太がそう言って、ゆっくりと階段を上りはじめた。



ブ「一、二、三……」



踊り場の窓からオレンジの満月が覗いてる。



ブ「十二、十三、十四。上りが十四段。だけど、下ってみると……」



一、二、三と数えながら、ブン太が階段を降りてく。
踊り場を廻った所で、ウチはあれっと思った。
踊り場の床に、窓枠の影が落ちている。
でも、そこには、さっきはなかった影があった。
なんだか、人の影みたい
真ん丸の頭と、プクっとした胴体……。



ブ「十一、十二、十三!ほら、一段たりねぇ!」



ブン太が引きつった声をあげた。
ウチは、慌てて口塞いだ。



『松岡にバレたら大変じゃん』


ブ「で、でも、わかったろぃ。怪奇現象が起きるっての、嘘じゃないって」


『わ、わかったよ。わかったけど……』



ウチはさっきの影が気になる……。
って、あれ?影消えてんじゃん。
どゆことー。



ブ「次は、三階の男子便所!」


ブン太がダダダっと階段を駆け上がっていく。



『ちょっと、待ってよ』



ウチも慌てて追いかける。だけど、この黒革のコートが重くて。



ブ「ほら見てみろ、個室が全部閉まってるだろ?」



ブン太の言うとおり、男子便所の三つある個室の戸は全部閉まってた。
普通これって、試用中ってことだよね。でも、こんな時間に誰が?







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