゚・。+☆+。・゚黒魔女゚・。+☆+。・゚

□生き霊の敵討ち
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暗い校舎の中で、こうこうと白い光が灯る音楽室。
ウチは、黒革のコートをギシギシいわせながら、走っていた。



『ブン太!大丈夫っ?!』


ブ「ど、どうしたんだよ璢唖。悪魔祓い失敗したのかよ?」



ブン太は教室の一番後ろの席に座ってる。教室は特に変わった様子もないし。
よかった。ブン太は無事だったんだね。



『うーん。多分、上手くいったと思う』



ウチは誤魔化し笑いを浮かべて、教室を見わたした。
明るいせいか横綱の影は何処にもない。



『で、此処ではどんな不思議が起こんの?』


ブ「それが……」



そのとき、廊下の方から鼻歌が聞こえてきた。



ブ「璢唖?」



ブン太がウチにしがみつく。



先「全く、何で俺が宿直なんか、させられなくちゃならないんだよ」



あの声は松岡……。



先「せっかく今夜は六本木のクラブで踊りあかそうと思ったのにさ。あの馬鹿教頭、『松岡先生、一番お若いから宿直お願いします』だって。ああ踊りたい、ネオンが恋しいっ」



はぁ、何か軽いっていうか、いい加減っていうか。



先「あれ?音楽室の電気がつけっぱなしだよ。ネオンが恋しいってリクエストに、校舎さんが答えてくれたのかな」



あーあ、困ったねコイツには。
呆れながらウチとブン太は教室の奥へ移動した。
窓と机の間に身を潜めると同時に、ガラガラッと教室の戸が開いた。



先「なんだよ。消し忘れだよ。全く、音楽の吉田先生はだらしなくていけないよ」



戸のすぐ横のスイッチに松岡が手を伸ばす。
パチンと、電気が消えた、その瞬間。
ポロン、ポロロン。
ピアノの音がした。



先「えっ?」



闇の中で松岡が顔を引き攣らせたのが見えた。
ポロン、ポロロロポロン。
ゆったりとして、そして悲しげな調べ。
ブン太がウチにしがみつく。悲鳴が漏れないようにウチはブン太の口を塞いだ。
でもウチの足も、ワナワナ震えてる。
だって、音楽室は真っ暗なんだよ!ウチら以外誰もいないんだよ!
いったい、誰が弾いてるってーの!?
ポロンポロロン。
ピアノの音色のボリュームが、ちょっとあがる。



先「だ、誰だ!こんな時間に学校に来てピアノを引くなんて……」



松岡が手にした懐中電灯をピアノに向ける。
オレンジ色の丸い光が、ピアノにあたる。
その中に、人がいた!
長い髪の先がクルッとカールしてる。顔の幅が以上に広い。
虫歯が痛いのを我慢してるみたいに、歯を食いしばってて……。



先「お、お前は、一体……」



ベートーベン。
で、でも、どうして?いや、もしかして……。
ウチは、慌てて音楽室の壁を見た。






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