゚・。+☆+。・゚黒魔女゚・。+☆+。・゚

□生き霊の敵討ち
2ページ/4ページ








一番右側に、羊みたいな髪のバッハ。
その隣は「お友達になってね」みたいな、媚びた笑みを浮かべたモーツァルト。
そして、その隣は……。
真っ白だった。四角い紙の中に描かれているはずのベートーベンがいない。



『「あわわわ……」』



ウチもブン太も腰が抜けて、ペタンとしゃがみこんじゃった。
それは、松岡も同じ。
ガタガタ震えるばかりで、足に根が生えたみたいに動けないでいる。



≪悲しい調べだ≫



低い声がした。
べ、ベートーベンが喋った!しかも日本語。



≪人に傷つけられた者の呻き。心を踏みつけられた者の叫び≫



ポロン、ポロロン。



≪お前に聞かせているのだ≫



震えるオレンジ色の光の中で、ベートーベンが、ギロッと松岡を睨みつけた。



先「ひ、ひぃ……。ふぉ、ふぉくがにゃにを・・・・・・」



松岡ったら、魂を抜かれたみたいに立ち尽くしてる。
涙がポロポロ。鼻水まで出して。
ポロ……。
突然、演奏がストップした。



≪まだ、わからぬか!≫



ギャン。
鍵盤をめちゃくちゃに叩く音がした。
と思ったら、ベートーベンが立ち上がった!



≪それなら、わかるまでお前にとりついてやるっ≫



いくなりベートーベンが、先生の方に近づいていく。
でも、歩いてんじゃない。足、動いてないし。
なんか、空中をフワーッと移動してくみたいな感じで……。



先「ぎゃあぁ!た、助けてぇ!」



松岡は懐中電灯を投げ出すと、転がるようにして、音楽室から逃げていった。
ベートーベンはその後を追いかける。のかと思ったら、スッと姿が消えた。



ブ「璢唖。ベートーベンが元の場所に戻ってる……」



ウチは、恐る恐る壁を見上げた。
さっきは、ただの白い紙だったところに、ベートーベンがいた。
ざまあみろ、みたいな、悪戯っ子そうな笑を浮かべて。



『ブン太行くよ!』


ブ「行くって、何処に?」


『とにかく行くの。こんなところ、いたくないっしょ?」



ブン太はカクカク頷くと、ウチの後を追てきた。



先「ふぁ、ふぁすけてぇ……」



松岡は、まだ廊下にいた。恐怖で足に力が入らないらしい。二、三歩走っちゃ、バタッと手をついて這いつくばってる。








*
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ