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□生き霊の敵討ち
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一番右側に、羊みたいな髪のバッハ。
その隣は「お友達になってね」みたいな、媚びた笑みを浮かべたモーツァルト。
そして、その隣は……。
真っ白だった。四角い紙の中に描かれているはずのベートーベンがいない。
『「あわわわ……」』
ウチもブン太も腰が抜けて、ペタンとしゃがみこんじゃった。
それは、松岡も同じ。
ガタガタ震えるばかりで、足に根が生えたみたいに動けないでいる。
≪悲しい調べだ≫
低い声がした。
べ、ベートーベンが喋った!しかも日本語。
≪人に傷つけられた者の呻き。心を踏みつけられた者の叫び≫
ポロン、ポロロン。
≪お前に聞かせているのだ≫
震えるオレンジ色の光の中で、ベートーベンが、ギロッと松岡を睨みつけた。
先「ひ、ひぃ……。ふぉ、ふぉくがにゃにを・・・・・・」
松岡ったら、魂を抜かれたみたいに立ち尽くしてる。
涙がポロポロ。鼻水まで出して。
ポロ……。
突然、演奏がストップした。
≪まだ、わからぬか!≫
ギャン。
鍵盤をめちゃくちゃに叩く音がした。
と思ったら、ベートーベンが立ち上がった!
≪それなら、わかるまでお前にとりついてやるっ≫
いくなりベートーベンが、先生の方に近づいていく。
でも、歩いてんじゃない。足、動いてないし。
なんか、空中をフワーッと移動してくみたいな感じで……。
先「ぎゃあぁ!た、助けてぇ!」
松岡は懐中電灯を投げ出すと、転がるようにして、音楽室から逃げていった。
ベートーベンはその後を追いかける。のかと思ったら、スッと姿が消えた。
ブ「璢唖。ベートーベンが元の場所に戻ってる……」
ウチは、恐る恐る壁を見上げた。
さっきは、ただの白い紙だったところに、ベートーベンがいた。
ざまあみろ、みたいな、悪戯っ子そうな笑を浮かべて。
『ブン太行くよ!』
ブ「行くって、何処に?」
『とにかく行くの。こんなところ、いたくないっしょ?」
ブン太はカクカク頷くと、ウチの後を追てきた。
先「ふぁ、ふぁすけてぇ……」
松岡は、まだ廊下にいた。恐怖で足に力が入らないらしい。二、三歩走っちゃ、バタッと手をついて這いつくばってる。
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