03/28の日記

18:31
マツリカの炯―kEi―天命胤異伝―総評―。
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『マツリカの炯―kEi―天命胤異伝』、最後は総評です。

【ストーリー総評】
中華風ファンタジーってやったことがなく楽しみだったんですが、思っていた以上に楽しくプレイできて良かったです!
発表された当時から面白そうだな、とは思っていたのもあって期待していた通りの面白さでした。
マツリカ村という閉ざされた世界で生まれ育ったヒロインが、何かしらの縁で外の世界に触れて成長していく物語なのかと思いきや、
前世、血胤、因果に翻弄されながら懸命に生きていく登場人物たちの物語だったというギャップに驚いた記憶があります。
ここはちゃんとあらすじを見ていなかったのもあるかもしれませんがね(笑)
ただ、物語の中で因果関係が綺麗に登場人物たちに散りばめられていたこと、誰一人として無駄なルートがなかったこと、
そのすべての因果が最後に綺麗に回収されていった秀逸さに圧倒されて、気付けば全部終わっていました。
よくある、前世の繋がりが、という物語構成ではあったのですが、その人のルートに入るための踏み台として他のルートが描かれているわけではなく、
ちゃんとヒロインと結ばれる意味を各ルートに持たせてくれていたことによって、やっぱり彼らは全員ヒロインの運命ではあったんだな、と思えて良かったです。
たまに、この人のために作られたんだろうなこの話、というのがあったので、ちゃんと一人一人に向き合って描いてくれていると感じられたのが嬉しかったですね!
個人的にものすごく心に残るお話、というわけではないのですが、伏線回収の綺麗さや純愛の物語としては良作ではないかな、と思っております。
性的に直接的な表現やグロ描写もあるので、あまりそういったものが得意でない人はやりづらいでしょうが、それでもやって損はない作品だと思います!
苦しくも足掻いて求めた、彼らが行きつく先がどんな未来なのか、気になった方は是非ご自身の目で確かめてみてください!

【ナーヤ】
正直に言うと、あんまり好みなかんじの子ではなかったのですが、物語を進めていくうちに、彼女が彼ら攻略キャラと愛を育んでいく過程がとても微笑ましく、
この幸せを奪わないでほしいという想いがどんどん募っていくような感覚がありました。
混ざり血だったというだけで村を追われ、血族もいなくて孤独を抱えていた彼女だったからこそ、攻略キャラが救ってくれた時はありがたかったし、
彼女もまた攻略キャラを救っていく様が健気で強くて、いつの間にか一緒になって攻略キャラのために頑張るぞ、という想いが自然とこみ上げてきました。
ルートによっては、ただ一緒にいるだけではダメなのか、という想いに攻略キャラと共に苛まれたのですが、その想いを払拭してくれるように彼女が、
「一緒にいたいだけだ」と言ってくれた時にはもうナーヤちゃんに恋していましたね、攻略キャラ共々(笑)
迎えるエンディングによっては手放しで喜べないエンディングとなるのですが、それでも彼女には細やかながら幸せになっていただきたいものです。

【システム・ED】
★システム★
システム周りはいつものオトメイトさんです。
しかし、久しぶりにオトメイト作品に触れたからか、シンプルなものに慣れていたせいで「鑑賞」がすごく見づらかった……。
世界観を大事にしてくれるオトメイトさんだからこその弊害が出てしまって、個人的にちょっと残念でしたね……。
エンディング後にキャラが喋ってくれるのですが、それも搭載されていてそこはエンディングに最後まで浸れて良かったかな、と思います!
既読スキップはやはりMaxにしても遅かったのですが、選択肢ジャンプはあるので周回には困りませんでした。

★ED★
エンディングは各ルート3つ。

・春前終節(映像つきエンディング曲あり)
・明前終節(エンディング曲あり)
・雨前終節(エンディング曲なし)

グッド・バッドの括りはルートによって異なるため、一概にこのエンディングがベストだよ、とは言えないような作りとなっております。
それぞれがどんなエンディングになるのか、その目で確かめてみてください。
ちなみに共通ルートにはバッドエンドがございます。
青凛・燕來の共通に存在しますので、探してみてください。

【プレイ時間】
もう初手はほとんど記憶がないのですが、共通・個別合わせてだいたい10時間程度でした。
個別分だけだと1節1時間かかるかどうかくらいなので、4〜5時間くらいですかね。
エンディング回収込みで、この時間でした。

【攻略順】
今作は以下でプレイしました。

胡青凛
ルヲ
二角獣(2周目以降ルート開放)
ゼベネラ
玖燕來(ルヲ・青凛・ゼベネラルートクリア後開放)
フェイ(燕來ルートクリア後開放)

一応全キャラ攻略して、攻略開放条件を見てみたらこうでした(笑)
この順にしたのは、青凛は初手で燕來に行こうとした結果ルート開放されておらず、途中でシフトチェンジした結果でした。
で、次は最初から選択できるキャラの中でゼベネラを最後に回したいがためにルヲ、次にルート開放されてちょっと気になり始めていたので二角獣、
最後はゼベネラに行って、やっと開放されたからと燕來、最後はフェイで締めました。
初手に関しては最初から選べる青凛・ルヲ・ゼベネラのどのキャラから行っても問題はないようですが、
全部クリアして改めて精査したところ、たぶん以下の順がより真相に近づくので良いかと思われます。

ルヲ
胡青凛
ゼベネラ
二角獣
玖燕來
フェイ

ファンタジー度合も増していきますし、ヒロイン自身のことについてもわかっていく順とすれば、これかな、と。
結果としては好き行ってもらって構わないのですが、ひた隠しにしておきたいならこちらの順をオススメします!

【推しキャラ】
最後に推しですが、ゼベネラ、そしてカルマになりました!
この2人の共通点としては、ナーヤちゃんが最後まで共にいてくれることが一番の救いだったと言えるところですかね。
カルマとか、特に運命に翻弄されすぎていて、何ならこの子こそ一番関係ない立ち位置なのに背負ってしまった業が悲しすぎて泣くしかできなかった……。
一番関係のない人間のはずが、「罪なき人を殺める」という一番の「業」を背負う、といったこの図式が可哀相でならなくって、
この子の幸せを願うことを許してほしいと思うくらいにつらく苦しい想いをしました。
皮肉ですよね、「カルマ」という名前も、何もかもが……。
ゼベネラは、たった一人を一心に愛していただけなのに残酷な宿命を背負ったというのが、ただただつらい……!
普通に生きて普通に生活していた、白狼族の王で孤高であったとしても、愛する人の子を抱く普通の幸せを得るはずだったのに、
たった一匹の仙虹によってその幸せすらも得られないという残酷さに、何でと言う他なかったです……。
だからこそ、「子を得ることだけが幸せじゃない」というナーヤちゃんの言葉にどれほど救われたか、ゼベネラの気持ちを想うと唯一の希望でしたよね、これが。
この2人のことを思うともっと良い未来にはなれなかったのか、と思う次第ではございますが、細やかに幸せに生きていってほしいです。
個人的に最も純愛を貫いたのがこの2ルートではないかな、と思いました。

さて、無事にフルコンプいたしました、『マツリカの炯―kEi―天命胤異伝』!
とても、とても楽しかったです!
次ですが、おそらく4/11発売予定の『泡沫のユークロニア』までには一本終わりそうにないので、小休止を経て、『ユークロ』くんに挑んでいきたいと思っております……!
その前に『剣君』のおまけを読み切ってしまおうかな!!
それでは、お目通しありがとうございました!

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18:31
マツリカの炯―kEi―天命胤異伝―フェイ―。
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『マツリカの炯―kEi―天命胤異伝』フェイ、終わりました!

【フェイ 感想】
ラストはフェイに挑みました!
フェイはマツリカ村の族長の息子で、ナーヤちゃんの幼馴染の男の子です。
フェイのお話は、族長家に伝わるマツリカ村を守るための術のことと、かつてあった雪月花国がどのように失われてしまったのかということが中心で語られるルートでした。
ゼベネラ・ルヲルートの時のような状況で、凶ノ子だとして村を追われることになってしまったナーヤちゃんですが、
族長のアゲドの機転で何とかその場は収まっていきました。
ですが、玖家の燕粋の命でマツリカ村が焼かれ、その影響で村を守るためにアゲドはフェイと共にこの村を守る結界を張る術をかけます。
アゲドの言葉に苦しんだ表情をするフェイ、その意味がわかったのはアゲドが結界を張った術の影響で亡くなってしまった時でした。
族長家の男は代々、一定の年齢になると村を守る仙虹フエンの声が聞こえるようになり、その声に従って結界を張り、村を守っていた。
その代償に結界を張るごとに命数が削られ、今年の景星節でアゲドの命数は尽きてしまう運命にあったこと、
そしてそれを手伝っていたフェイもまた、命数を削ってアゲドと共に結界を張っていたことがわかり、
父と息子2人の命数をそれぞれが負担して村を守っていたために、族長家が早く子をもうけなければならない理由がそこにあったのです。
これを踏まえて、ナーヤちゃんと同じ時は生きられないと言うフェイと一緒になるかどうか、村の人々から守るために族長家に属してほしいと言っていた彼を見て、
ナーヤちゃんはフェイと共に生きる未来を選択します。
族長家の一員となったナーヤちゃんでしたが、村人の脅威からは逃れることができず、また彼らに絶望していたフェイも「逃げよう」と言ってくれたことで、
フェイと共に村から逃げることにするのですがそれも失敗、ついには命数が尽きたフェイを失ってしまうことになるのです。
フェイを失ったこと、村人からフェイの弔いの場にいることを許されなかったことから、ナーヤちゃんは村を出て、
世俗と関係を断ち、廟参りをする「弔い人(サンシャ)」になると誓います。
そうして廟を巡るうちに、「また会いに来る」と告げたフェイの夢を見たナーヤちゃんが訪れたのは山奥にある古びた廟。
そこに建てられていた彫像を見て、マツリカ村で祀っていた「フエン」の姿にそっくりだと思った途端、目の前に現れたのはフェイとよく似た顔をした男「仙虹・フエン」でした。
彼の顔を見て、彼がナーヤちゃんを「孔雀」と呼んだ声を聞いて、彼女は遠い記憶を思い出すのです。
かつてこの土地にあった、蛍聲から愛された国・雪月花国のこと。
雪月花国の女王に双子の男女が生まれ、彼らを。幸せを運ぶ鳥の名にちなんで「孔雀」「燕緋」と名付けたこと。
女王となった孔雀が宮廷で過ごす中で、2人の仙虹・フエンと白君の力を借りて、五聖獣と共に国を守っていたこと。
しかし、蛍聲から授けられた子がまたしても双子だったことから、宮廷内が「凶兆なのでは」と不穏な空気に包まれ始めたこと。
その中で野心を燃やしていた胡雲曜と、雲曜に唆された麗穹が雪月花王朝の転覆を目論んでいたことが次々と明らかになっていきます。
そして国を追われていく中、力を奪われた蛍聲が最期の力を振り絞って鱗を撒き散らしながら、孔雀と彼女を慈しむ者たちを安全な山奥まで運び、
孔雀に「瞳」と「聲」の炯眼を授け、彼は樹木となって永い永い眠りについてしまうのです。
この血胤を繋ぐため、王家の復興の悲願を果たすため、燕緋は孔雀と別れ「玖」と名乗り、山を下りていきました。
攻め来る胡家の追手を退けながら生活をしていく孔雀たちですが、「爪」の炯眼によって変わり果てた姿になってしまった雲曜に孔雀は殺されてしまい、
その瞬間を見たフエンが皮肉にも自らの気持ちに、孔雀を愛しているという気持ちに気付き、絶望してしまうのです。
一時は玖卦の巡りに反して彼女を生き返らせようとしましたが、孔雀が遺した血胤を、蛍聲が眠るこの地に残ると決めた「聲」の炯眼を引き継いだサマラと、
白君と共に雪山へ行くことに決めた「瞳」の炯眼を引き継いだキエネラを守るために、フエンは自らの肉体を捨て、魂を分かち、新たな血胤を以て留まることにしました。
それがマツリカ村、白狼族、そして族長家の始まりだったのです。
自らを「孔雀」と呼ぶフエンの声や顔は「フェイ」にそっくりで、「孔雀」の魂を持つナーヤちゃんは戸惑いながらも、
彼を知るために、彼と旅をしていく決意をしていく、という流れで進んでいくお話でした。

めっちゃ説明が難しかったんですが、フエンが分体(フェイの肉体を指す)を介して分かたれた魂をそこに集めて形を成した、みたいなかんじで、
結局この人は「フエン」なの?「フェイ」なの?みたいな状態で進んでいくのですが、厳密には族長家の男の魂は元々全部「フエン」のものなので、
魂は「フエン」であり肉体は「フェイ」のものである、ということみたいです、たぶん。
ナーヤちゃんの魂がどっちに共鳴していくかによって、エンディングが変わっていくのですが、どっちもどっちな終わり方で「えぇ……(困惑)」となって終わっていきました。
フエンが「孔雀」を求めたことで「ナーヤ」という存在は希薄になっていくし、フエンが「ナーヤ」を求めたことで
「孔雀」を求めていた蛍聲から守るために「ナーヤ」の魂を切り離してしまったことで「フエンとの思い出」がナーヤちゃんの中から消えていってしまうし、
どっちも今の最善であるけれどもっと違った選択もあったんじゃないか、という終わり方をしてくれて難しいとしか答えられなかったですね……。
ただ、どんな状態でも、どれだけの時を越えようとも、フエンもといフェイが愛し続けてくれる事実は変わらないので、そこだけは救いだったかな、と思います。
まあ、たぶん一番何も知らないまま終われた雨前終節の方が、私的には最善のエンディングではあったんじゃないかな、と思いますが……うむ……。
フェイルートに関しては、そこに尽きますかね。
あと全然関係ないんですが、フエンの顔面がド好みすぎました(笑)

さて、『マツリカの炯―kEi―天命胤異伝』はここまでどうにかたどり着けました!
続いて総評に移りたいと思います!
それでは、お目通しありがとうございました!

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