マギ

□冒険
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当時、奴隷の鎖を勝手に解く行為は、貴族の所有財産の窃盗にあたり重罪であった。

「おいっ!その鎖を切る のはマズイって…!」
アリババは顔を真っ青にして慌ててアラジンのもとへかけよった
「?まずいって…なんで?アリア君も切ってたじゃないか」
「アリアのとは違うんだよ!なんでって…えと…そりゃあ…」
「まずいって、なんで?」
「……」
アラジンの悪気がない目にアリババは思わず口を詰まらせる
『犯罪だからだよ』
フィリアはアラジンに近づき目線を合わせるようにしゃがみこんだ
『アラジン、 私の主人はアリババだ。だからアリババが外してもいいと言ったから私は外すことが出来た。でもその子は違う …奴隷の鎖を勝手に切ることは" 貴族の所有財産を窃盗した"ってことになるんだ。』
フードから見える瞳は少し怒っているようだった
「………だけど、」
『アラジンはその子の鎖を切った、良かれと思ってやったことかも知れないがお前はただ鎖を切っただけだ。それでその子が解放されるわけじゃない。むしろ犯罪を犯したから罰を受けることになるかも知れない。私達ではなくて、お前が、助けたと思っていたが子が』
「………!!」
『その責任を負う覚悟が無いのに軽はずみに 行動した、っていうのは理解できたか?』
「…うん」
『なら良い』
フィリアはぽんっとアラジンの頭を撫でて立ち上がった
「いや、良くねぇだろ!?」
しかしアリババが突っ込みをいれる
『そうなのか?』
「そうだろ!!」
『なら、何でお前ははアラジンの問いかけ に"即答すら出来なかったんだ"?』
「………!!」
『アラジンが言ってることが正しいって分か っていたからだろう?』
「それでも!!奴隷はこの町にたくさん居る んだ!その子一人救ったところで結局は…」
「コラそこ〜っ、何騒いでる〜っ!!」
アリババとフィリアが口論を始めたところで誰かが遠く から遮った
「ホレホレ群れるな!ワシは今、機嫌が悪い のだ……んっ?」
「……」
「「あっ!!!」」

双方驚いたのか、目を見開いて相手を指差す

そこにいたのは昨日の馬車にいた男だった
「ああ…あんたは〜〜〜。なんでここに〜っ… 」
「あっ!キミは昨日の……おっぱいおじさん! 」
「ザケンなクソガキャッッ!!」
『そうだぞアラジン、忘れたのか?ブーデブ 様だろ?』
「貴様もかあぁあぁあああっ!!」
フィリアも悪乗りしたら怒鳴られた
「くそ〜っ…貴様らのせいでワシは大顧客の信 用を失ったんだぞ。ぜっったいに許さんからな!!」
『私が知るわけないだろう』
「頼むから黙ってろお前」
アリババはキッとフィリアを睨んだ
男は座り込んでいる女の 子に目を向けた
「んん?………キサマら…この上、奴隷の窃盗 か?重罪だぞ…?」
『さて、何のことやらさっぱり分からないねぇ』
「本当か〜?」
「やだなぁ、旦那様。冷静に考えてください よ……僕ら武器もない一般人ですよ」
アリババは流石処世術が身に付いているのか、言い訳は 結構上手い
「……フン、白々しいわ、気に食わん小僧め… キサマが1000金貨の借金を返せなかった時に 、どうしてやろうかもう決めてあるんだぞ…? 聞きたいのか…ん…?」
「………」
「 奴隷にしてやる」
「!」
その言葉にアリババは怯えるようにびくついた
「 奴隷にして、生涯、一生…わしが自らの手 で痛め続けてやる。奴隷はツラいぞ〜、ん〜!?こ 〜んなことをされても、文句は言えんからな ァ〜!!」
男はそう言いながら女の子の紙を掴んだ
「や…やめ…」
「ハハッ、文句あんならスカッと言ってみろ コラァ―――!!」
有頂天になっているのか、男は女の子の髪を 引っ張りながら叫んだ

その間に男の懐に移動していたアラジンが笛 を振りかざした
どうやらアリババに集中していた男はアラジンを 見ていなかったらしい

そしてそれを勢いよく脛に打ち込む

それと同時にフィリアも男の頭に踵落としを決めて女の子の髪を掴んでいた手を勢いよく踏みつけた
『汚ねぇ手で女の子の髪掴んでんじ ゃねぇよ』
「ギャアアアアアアアア」
「ヤ〜イヤ〜イ豚のけつ。プープーピーのプ ーヨプヨ」
『いいぞアラジン。もっとやれ』
「ヒギャアアアアァアァアッ」

アラジンが男のお尻に笛を突っ込んだ直後にフィリアは踏んでいた男の手をグリグリとさらに踏んだ
「おじさんってどうしてそうなの!?お酒や お金なんかのために人を嫌な気持ちにさせて… ……」
『アリババはテメェなんかの奴隷にはならね ぇよ』
「僕たち、おじさんみたいな人、だ〜〜〜い っキライっ!」
言うと、男は顔を真っ赤にして切れた
「町警吏(おまわりさん)―――、奴隷泥棒で ーす!!!」
「!?」
「とってもとっても悪い、奴隷泥棒が三人い まーす!!!」
「いいっ……!?」
男は突然そう叫んだ
するとすぐに武装した人達が大量に現れた
「旦那様の奴隷に手を出すか!!」 『(…旦那様…?)』
「わっ…警吏(ワリ)を呼びやがった〜〜〜っ! !!」
『強そうには見えないけど?』
「何でお前この状況で余裕なの!?逃げ切れ、アラジン、フィリア!!捕まったら俺達の人生ここ でゲームオーバーだ!!」
走りながらアリババが叫ぶ
細い路地裏を走り回る
『( それほど大きな町でもないから、すぐに囲ま れそうな気がするんだけど…)』
フィリアがそう思っていると案の定、進行方向に警吏が現れた
物凄い必死な形相だ
「げっ!!」
『凄ぇ顔…』
「まじで暢気だなお前…状況分かってんのか! ?」
『割とわかってる方だと思うけど?とりあえ ずあの豚一回シメる』
「生きて戻れればな!!つっ…捕まった〜〜〜 !!!」
そしてとうとう囲まれてしまった
「いやだ〜っ!!こんなとこで…終わってたま るか!これから俺は…」
『落ち着けアリババ、この程度の数なんとで も出来る』
「落ち着いていられるか!!何でそう暢気な んだよお前は…!!」
『チッ…落ち着けって言ってんだろ(この人数だと暴れるよりアリアに変わった方が早いな)おい』
フィリアはアリババの胸ぐらを思いっきり掴んだ
『今からアリアと代わる。代わったらアリアに「眠る歌を歌え」と言ってお前らは耳を塞げわかったな』
「はぁ!!?」
フィリアはそれだけ言うとアリババに倒れこんだ
「なぁ!おいどうゆうことだよ!!」
『 んっ……あっ、アリババ……えっ、これどういう状況?』
目を覚ますとアリアと変わっており今の状況を見て目を見開く
「今はいいから「眠る歌を歌え」アラジン耳を塞げ!」
アリババはそう言って耳を塞ぎアラジンにも塞ぐような促す
「えっ?うっうん、わかった」
アリアは大きく息を吸い込み

『 』

歌を歌う


回りはアリアの歌に思わず聞き惚れて動きを止めた
そしてすぐに

ドサッ

何かの倒れる音がしたと思ったら

ドサドサドサドサドサドサ

さっきまでアリアの歌を聴いていた警史達はすべて倒れこんだ
「……すげぇ」
その光景を見ていたアリババは思わず歓声の声が漏れる
『っ……ふぅ……はぁ…はぁ…』
アリアは歌をやめると苦しそうに胸を押さえてしゃがみこんだ
「おい!大丈夫か!!」
アリババはアリアに慌てて駆け寄る
『だいっ……じょうぶ……すぐによくなる』
アリアは辛いのを隠すようにアリババに笑いかける
「いたぞ!うわっなんだこれは!」
「!!!まだいたのかよ!」
アリババはアリアを背に担ぎ逃げようとするも、路地が細いためまたすぐに囲まれる
「もう、終わりだ!観念しろ!」
「くっそ……アリアだけでも」
するとアラジンは息を笛に吹き 込む それと同時にウーゴくんが現れ、その巨体 にアラジンとアリババとアリアを乗せてくれた
あり得ない人の出現に腰を抜かした人たちは、ただ呆然とアリババたちを見ているこ としか出来ない
「終わらないよ!これから僕たちは…「迷宮」 に冒険に行くんだもんねっ!!」
『……うん!行こう!』
「アリア…」
「許さんぞ―――っ!!!ネズミ野郎が!!! どんな手を使ったとしても―――っ!!!一生 お前を不幸にしてやる!!!!奴隷として見 下し、酷使し、引きずり回し…100万人分後悔 させてから殺してやるからなァ―――ッッ!! !!」
男はアリババ達を指さし鬼のような形相でわめき散らす
「(俺は借金をしている!今はなにも言い返せない!あいつを見返すためにもやるっきゃない!!)…!!行こうっアラジン、アリア。「迷宮」へ !!!」
「うん!』
「お―――っ!!!」
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