マギ

□アラジンとアリババ
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「ところでよー、俺、聞きてーことがあんだ けどさー………」
「なんだい?」
「その笛って………何?」
アリババはアラジンにぐっと近付く
「こ…これかい?ただの…笛だけど…」
「中だよ、中身!なんかドバーッと出てきた じゃねーか!」
「あ、ああ、ウーゴくんのことかい?彼は僕 の友だちさ!まぁ、おにいさんたちは「ジン 」って呼んでいるみたいだけどね…」
『…アラジン、それはどこで拾った?迷宮か? 』
「ダ、ダンジョン…?」
「馬車で説明したじゃねーか!」
『興味無さげだったけどまさか忘れてるとわねぇー』
フィリアはケラケラと笑いアリババは呆れた顔をする
「「迷宮」っていうのはな、謎の遺跡群でお 宝がザクザク眠ってるんだぜ!不思議な力を 持つ宝は特に貴重で、レームやバルテビアな んつう大国も、国をあげて探索するほどなん だ」 『そして、その宝の最高峰といわれるのが「 ジンの金属器」ってことだ』
「それだよそれ!!」
「おお?」
「僕は、その「ジンの金属器」を探していた ところなんだよ」
「え?でもお前それ…もう持ってるじゃん…」
『別に「ジンの金属器は一人ひとつしか持て ない」なんて決まりは無いからな。探してい てもなんら不思議は無いが…どうして金属器を 欲するんだ?』
フィリアは己の赤い左目をキラリと妖しく光らせて訪ねた
「これは違うよ。「迷宮」じゃなくて、部屋 から出た時に拾ったものだから」
「?部屋?」
「うん。というのも、僕とウーゴくんは…昔か らずっと「地下のがんじょうな部屋」にいたんだ」
『へぇ』
「外へは出られなかったけど、ちょっと前に やっと外に出られてね。でも、ウーゴくんは 首から上は出られなかったんだ…」
「………?」
「ねぇ、「迷宮」に「ジンの金属器」がある んだよね!?」
「………?」
『まぁね』
「じゃあさ!僕を、そこへ案内しておくれよ !」
そう言って、アラジンは立ち上がる
『(不思議な奴、 まぁ、会ったときから面白い「ルフ」だとは 思っていたけど)』
フィリアは、んっ?とあることに気がつく
『なぁ…それって、私が参加することも決定してる のか?』
「当たり前だろ。俺より迷宮に詳しいみたい だし」
『…不本意だ』
「お前が来てくれねーと、俺こいつとじゃち ょっと不安だし…!!」←小声 『………(それが本音か)』
ルフが見えないアリババでも、アラジンの不 思議さは直感的に感じたらしい 気圧されているその様子に、フィリアも行かなくて はならないんだろうな、と半ば諦める
『(…迷宮攻略か…なんか懐かしいな)あっ、そういや言い忘れてた私の左目実はな』
フィリアが何かいいかけたときドアを叩く音が聞こえた
「アリババ!!」
「やべぇ社長だ!」
「しゃちょう?」
「俺のバイト先の荷車チームの経営主だよ…」
『つまり、偉い人だな』
「…えらくまとめたな」
「へ―――」
扉の先に居たのは、老年に入って久しいだろ う男の人だった
心なしか…っていうか、絶対に焦っている用に しか見えない 良い予感がしない

「アリババ!お前、なんてことしてくれたん だ!」
『…それってもしや、葡萄酒のこと?』
「…?キミは…?」
『本日アリババ様にご購入されましたアリアちゃんでーす☆……まぁ、そんなことは置いといてどうなんすか?』
「あ…あぁ、そうだが…ブーデル様の葡萄酒を パアにしたそうじゃないか!先方は、弁償代10 00金貨(デイナール)って言ってきてるぞ!」
『…パアにしたのはアラジンだけど』 「うぅっ!!」
フィリアが意地悪げに笑いながらボソリと呟くと、罪悪感はあったのかアラジ ンはフィリアの服にに隠れるように蹲った

『(…まぁ、私とアリババを助けるためにやってく れたんだし、責めるのはお門違いだとおもうけどねぇー)』
「いやぁ…そのことですが…後で相談しようと 思ってたんすけど…」
「お…おい…笑ってる場合じゃねぇぞ…」
『…?何かあったんすか?お金だけの問題ではなく…?』
「ああ…お前…奴隷にされるぞ」 「ど、奴隷?」
『…えぇー、またぁー……まさか、あの葡萄酒の納品先がこの街で悪 名高い領主で、そいつは奴隷をいたぶったり 苦しめてる奴だったりとか☆?』
「その通りだ」
『……マジかよ…』
フィリア自身まさかそうだとは思わず驚いたような呆れたような顔をする
「あいつを怒らせたらただじゃすまねぇよ…! !うちの会社もどうなるか〜〜!」
「……大丈夫です、社長。奴隷になんかされま せん。俺、「迷宮攻略」で成功して、弁償代 払いますから!」
「はぁ!?」
「おいアラジン、お前、さっき「迷宮攻略」 行きたいって言ってたよな」
「う、うん…」
「連れてってやるよ!その代わりにお前のジ ンを、社長に見せてやってくれ!」
「……うん!」

言われたアラジンは、笛に息を吹きかけ始め る 訳が分からない社長はただ見守るしかなかっ た
『(うわシュール…てか屋根壊れたけどいいの?)』
「社長…こいつらの名は…アラジンとフィリア?アリア?です… 」
『…(やっぱり私も含まれるのか…)』
「彼は、偉大なる大魔術師であり……」
『(ある意味当たってるけど、ルフは使いこな せてないからある意味口から出任せだよな…) 』
「アリアは、舞うように闘う武人であり……」
『………(武人て………)』


月明かりがフィリアたちを照らす 凄いシチュエーションだ
「そして俺の…一番の―――っ……家来だ!!」
『………え』
フィリアは一瞬ほおけたかおをし、
『家来かよ』
思わず突っ込んだ
『(まぁ、冗談だろうけど酷くね?てか……… アラジンの顔が凄いことになってるけど)』
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