マギ

□アラジンとアリババ
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いきり立ってアリババが入ったのは、俗に言 う「キャバクラ」なるお店だった
『…私女なんですけどご主人』
「だからご主人やめろって!アラジンの機嫌直すにはここしかねぇだろ!お前なら多分バレねぇよそれに飯うまいぞ」
『なににだよ』
フィリアは呆れた顔をしながら回りをみてフードを取った
だけど、こんな場所に来たというのに
アラジンは依然意気消沈していて、案内され たソファの上で生きる屍になっていた
そろそろ限界なのか、アリババの額には青筋 が浮かんでいる
「おい…いい加減にしろよ。文句あんなら口で 言えよ」
「………だって僕たち…おにいさんの…"家来"な んでしょ…?」
「あぁ!?あんなん社長の手前、テキトーに 並べただけだっつの…めんどくせぇなあ…フィリアはすぐに分かったのによ…あっ、だからお前少し拗ねてたのかよ」
『………拗ねてねぇよ』
フィリアはプイッとそっぽを向いたそして目の前の食べ物が目にはいる
『(これ全部アリババの奢りみてぇだし)……食べるか』
フィリアは目の前の食べ物の皿に手をかけた
「ハイハイ、お前は俺の相棒ですよ、仲間で すよ」
「……」
「友だちですよ」
「友達」と聞いた瞬間アラジンは顔を輝かせながら起き上がった 心なしか涙目だ
「友だちかい…?ほんとだね!?ほんとにほん とに友だちかい!?」 「あ、ああ」
どうやらアラジンの機嫌は直ったらしい それどころか絶頂期のようだ
フィリアはそれを見て別の皿に手をかけた
「あ―――ん、おにいさん。料理ばっかり食べ てないで、私たちと話してくださいよ―――」
『………(忘れてた ここは「そういう」お店だったんだっけ…)』
フィリアは遠くを見るような目をした
フィリアは何故か擦り寄ってきた女の人に視線を向ける 女の人は何故か5人も居た
黙々と料理を口に運ぶだけのフィリアを、珍しい客 だとでも思ったのか女の人たちはここぞとば かりに喋りまくる
「ここに来てる人はみーんな私たち目当てな んだけど…おにいさんは違うみたいね…」
『…(そりゃそうだろうね…)』
「おにいさんとっても綺麗な顔立ちね、それにおにいさんの左目とても綺麗ね!」
女の人の一人が手を近づけて目元に触れる
『っ触るな!!』
「「「!!」」」
目元に触れた女の人の手を振り払う 大きな声を出してしまったけど、周りは自分 に群がってくる女の相手と、いい気分になっ た男を相手するのに忙しいらしくこちらを見 る人は居なかった
それでも、彼女たちには影響を与えただろう
少し言い過ぎたか、と思い、弁解しようとする
『…っ悪い…だけど、この目義眼だから触れないでほしい…』
「かっこいい…」
『………………………は?』
「おにいさんかっこいい!!」
「凄くクールなのね…!!」
「左目が義眼なんて…ミステリアス な雰囲気がまた素敵…」
「ねぇ、あーんってしても良いですかァ?」
『………は?』 「あん、ずるいわよモリス!!私もしたい!! 」
「抜け駆けは禁止よ!!おにいさんは皆のも のなんだから!!」 『は………っ!?いや待てちょっと待て、何な んださっきから…!!』 「キャ―――、照れてるぅ!!」 「初々しいお姿も素敵…」
「おにいさん、お名前は?」
『そんなもの聞いてどうするんだ…っ!!』
「そうよ、分かっちゃったらつまらないじゃ ないの」
「そうね…砂漠の獅子王様って呼べば良いんじ ゃない?」
「それ良いわね!!」
「獅子王様、はい、あーん…」
『話を聞けぇ!!』

段々ヒートアップしていく女の人たちをどうにか逃れようとフィリアはフードを手で引っ張るように深々と被った
『(早く閉店時間になってくれ…!!)』
そう思った矢先に、やたらと楽しそうな声が 響いてきた
「さー、お待ちかねのサービスタイムでーす 。皆さん楽しんでくださいね〜〜〜!」
『(待ちかねてねぇし楽しめねぇ…!!)』
いつの間にか女の人に囲まれていたアラジン とアリババ
ただしアリババのところに居るの はすごく厳つい女の人だ
『(アリババってあんな のが好みだったのか…?)』
二人は早速サービスタ イムを堪能している
「ほらほら獅子王様、サービスタイムですよ !!」
『知るか!!』
「私にサービスさせてくださいませ!!」 「いえ、私が」「私よ!!」「ぜひ私に!」
『話を聞け!!しないって言ってるだろう! !あぁぁぁもう無理アリアと代わる!』
フィリアは急に叫んだかと思うとガクンと倒れた
そんなフィリアを見て回りは心配そうにざわめく
『んっ……ん?あれ?ここどこ?』
フィリアは目を覚ましたと思ったら回りを見てキョロキョロする
左目が赤から金に変わっているところを見るとどうやらアリアになったらしい
『(あれ?鎖が無くなっている)』
「あの、獅子王様大丈夫?」
女の一人が心配そうに声をかける
『えっ?獅子王様?』
アリアはきょとんとした顔をした
どうやらフィリアになったときとは違い記憶を引き継げないようだ
『(もしかして私のこと?)うん、大丈夫だよ』
アリアはふわりと微笑んだ

キューーーン

「「(かわいい!!!)」」
それを見た回りの女の人たちはパタリと倒れた
『え?え!!?おおねえさんたちしっかりして!えええ?!!』
それにアリアはただ慌てることしか出来なかった

やっとお店が閉店したときには、夜も更けて いた

「は―――、楽しかったねぇ………」
アラジンはどこかウキウキした顔立ちをしていた
「僕らの冒険が終わったら…3人でまた来よう ねっおねえさんっ!」
『えっ……ちょっと嫌かな』 「えぇ!?何でだい!?」
『だって、怖かったし……おにいさん大変なことになってるし』
アリアがちらりとアリババの方を見た
何故かアリババはボロボロになっていた
…一応頬にキスマークがついてるが ちょっと流血しているようにも見える

アラジンは拳を突き 上げた

「友情パワ―――ッ」
「友情なんかねぇ―――よ、ボケナスが!!! !」
「ええ!?」
『おにいさん八つ当たりはダメだよ』
「うるせぇえぇえ!!」
「何でボクが叩かれるんだい…!?」

そしてアラジンはアリババの八つ当たりの餌 食になったのだった

『(てかなんで私アラジンとおにいさんと一緒にいるのぉー?)』
今はとても聞ける雰囲気ではないので明日にでも聞いてみようと思うアリアでした
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