夏目友人帳

□わがまま
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椿と暮らして早一ヶ月
初めはトラブルなりあったが今ではそれなりに楽しくやっている
しかし1つだけ悩んでいることがある
それは

「椿が良い子過ぎる!!!」
名取はテーブルをダンッと叩いた
「椿って名取さんが引き取った子ですか?」
名取のマネージャーが聞いてきた
「ああ、とっても可愛い子なんだ。見るかい」
「あっ!見たいです」
名取がケータイを見せるとそこには白いワンピースを着て嬉しそうに笑っている椿の姿があった
「わぁ!可愛いですね!」
「そうだろう、これは椿に似合うと思ってお土産に買っていったときのなんだが、初めは申しわけなさそうにしていたけど、とても喜んでくれてね。それがまた可愛くて」
「親バカですね」
微笑ましそうに笑うマネージャーを見て名取はまた取り乱していく
「もう、甘やかしてやりたいのに椿が良い子過ぎて!」
名取がまたテーブルをダンッダンッと叩く
マネージャーはそれを見て苦笑いをしている
「でも、良い子なのは良いことじゃないですか。名取さん仕事も増えてきていますし」
「いや、しかし椿も10歳(一応)もっと我が儘を言っても良いと思うんだ。それに椿は女の子なんだ。おしゃれだってしたいと思うし、甘えたりもしたいと思うお年頃のはずなんだ!私が男だからか!それとも頼りないのか!」
「ギヤァァァ名取さんんんん!!!」
とうとう頭を抱えてガンッガンッとぶつけ始めた
それを見て止めるその間も名取は頭を抱えて悩んでいた


「椿ただいま」
『周一さん!お帰りなさい』
名取が帰宅するとその声を聞き付け椿はトタトタと名取のもとへ駆け寄る
『見て!全部書けたよ!』
椿が見せてきたのは算数のワーク
将来の為にと思って買った勉強のワークを椿は毎日真面目にやっていて最近では六年生の内容まで出来るようになった
「おお、スゴいな」
名取の反応を見て椿は嬉しそうにエヘヘと笑った
「……なぁ、椿」
『なに?』
「何か…欲しいものとか行きたい場所とかないかい?」
名取の突然の質問に椿は目を丸くする
「椿がいつも頑張っているからね…何かご褒美とかあってもいいと思ってね」
『そっ、そんなのいらないよ!欲しいものは名取さんが買ってくれるし行きたい場所だって…私外に出ると危ないし』
段々と小さくなる声に名取は少し寂しさを覚えた
「椿…君はもっとわがままを言ってもいいんだ。行きたい場所があるなら言ってごらん……それとも私はそんなに頼りないかい?」
『ううん!そんなことない…でもこれ以上迷惑かけたくない』
椿が中々はっきりとしないのに等々痺れを切らし笹後は名取の聞きたかった答えを口にする
【主様、椿は学校と言うところに行きたいらしいです】
『わああああ!笹後おおお』
「学校に?椿学校に行きたいのかい?」
名取は驚き思わず聞き返してしまった
なんせ名取はずっと椿は人が怖いのだと思っていたからだ
椿は小さくこくんと頷いた
『私ずっと人が怖かったけど…優しい人と出会って人と関わりたいと思ったの……あとね、もっと色んなことが知りたいの……でも…』
うっすらと目に涙を浮かべながら椿はポツリポツリと呟く
名取は椿の話を静かに聞いていた
『私は普通の人とは違うから、きっと沢山迷惑かけちゃう…また誰かを傷付けちゃう』
「椿」
名取はぽんと優しく椿の頭を撫でて抱きしめた
「安心して、椿がそう思えるのなら大丈夫だ」
『名取…さん…』
「人は誰しも迷惑をかけるし傷付ける。だから怖がるな」
名取の手は暖かくて言葉はとても優しかった
『名取…さん…私っ…学校にいきたいですっ!!』





「あっ、名取さん今日は嬉しそうですね」
「あぁ、椿が今日から学校に通うことになってね。ランドセル姿の椿がとても可愛かったんだよ」
名取はそう言ってマネージャーに写真を見せる
「相変わらず椿ちゃん可愛いですね」
「そうだろ!それに最近は少しずつだが甘えてくれるようになった」
マネージャーは優しく笑うそんな名取の姿を見て子供はいいなと思った

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