弱虫ペダル

□お料理教室
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月日もだいぶたち少し肌寒くなってきた
お馴染みになりつつある自転車部の四人は今日も食堂でお昼をとっていた
そんな四人はある疑問を持っていた
「最近どうも山坂チャンの様子おかしくナァイ?」
最初に切り出したのは荒北だった
「ああ、それは俺も思っていた」
福富は荒北の言葉に頷いた
「む、実は俺もだ」
「色々あるけど、山坂さんの装備増えたよな」
新開の言葉に皆うんうんと頷いた
山坂は元々長袖の制服にタイツの重装備だったが最近そこに手袋が追加された
「あの暑い日もあの格好だったのに…葵寒がりだったのだな」
元の装備の理由を知っている東堂以外の三人は口を閉じるしかなかった
が、しかし
手袋はおかしい
山坂の傷跡はサイクルウェアを身につけていなかったところが主で(何故か背中は酷いらしいが)手はグローブのお陰で綺麗だったし、元々つけていなかった
「それと最近何処か上の空だな」
「あー、確かに」
山坂と同じクラスの二人はうんうんと頷いた
「あと、よく食堂で放心状態になっているな。ほら」
新開の箸を指した方を見るとそこにはスプーンを持ったまま固まっている山坂の姿があった
一緒に食べていたらしい友人たちは山坂の顔の前で手を降ったり山坂の食べていたカレーをとっていったりしているが当の本人はピクリとも動かない
「…うん、これ山坂チャンなんか抱えてるな」
「ム、どうしてそう思うのだ。荒北よ」
「山坂チャン頭ん中で考えすぎるとよくあーなってたから」
箸をかじりながら言った荒北の言葉に東堂は眉間にしわをよせた
「荒北よく知っているな」
福富の感心したような声にマァーネと返した
「ヒュウ!流石靖友だな」
「ッセ!」
「(何故、荒北は俺より葵の事を知っているのだ)」
三人の話を聞いていた東堂の胸のなかで何か黒くモヤモヤしたものが漂った
東堂は思わず俯き箸をぎゅっと握りしめる
「(俺の方が荒北より付き合いも長いし俺の方が荒北より絶対に仲も良いはずなのに…)」
「…ど、……おい!東堂!!」
荒北の突然の大声に東堂はびくりと肩をはねさせる
「っ!…なんだね?」
「お前話聞いてたァ?」
「…すまん、聞いてなかった」
「放課後に山坂さん捕まえて話を聞こうって話をしていたんだけど。いいよな」
「あっ、ああ!うむ!いいぞ!」
「じゃ、部活の前に山坂さん捕まえておくね」
新開の言葉と共に皆は解散した
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