blue note【二次創作】

□梵天丸&弁丸
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「ねぇ〜。梵ちゃんきーてるでござるか?」

俯いている俺の顔を並んで座っていた弁丸が横から覗いてくる。

「あぁ、ちゃんと聞いてる」

心配、掛けちまったかな。

苦笑を浮かべながら返した言葉に更に心配したような顔と声音で弁丸が聞いてくる。

「何かあったのではござらぬか?」

鋭いな・・・。

本当はお前に言いたいことがある。

「何も無い」

けど言えない。

もうすぐお前が帰ってしまうのが寂しいなんて、言えるわけがない。

「そうでござるか・・・。ね、梵ちゃん」

「何だ?」

「ギューしてもいいでござるか?」

何故・・・?

こいつの言動はいつも突飛だ何を考えているのか全く分からない。

「あぁ」

まぁ、弁丸の考えること、害はないだろう。

「・・・僕ね。本当は帰りたくない、ぼんちゃんと一緒に居たいでござる」

後ろから抱きつく形で言ってくる。

嬉しい。

また胸の辺りが温かくなる。

『俺も』と言えれば良いのに。

「そっか・・・」

何でこんな事しか言えないのか・・・。

「また一緒に遊ぼうね。やくそく」

小指を立てた左の手を俺の前に出してくる。

俺はその手を取って薬指に口づけた。

これが今の俺に出来る精一杯。

俺はもう闇を恐れない。

今はただ、お前に会ったとき、恥ずかしくないように精進するぜ。





〜end〜
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