blue note【二次創作】

□梵天丸&弁丸
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梵天丸&弁丸

 〜梵天丸side〜


「それでね、さすけがね〜」

俺の横で団子を頬張りながら、楽しそうに話しているのは真田の弁丸だ。

可愛いやつだ。

城へ帰ると息が詰まって嫌な思いをする。

だがこいつと居ると胸のあたりが温かくなる。

弁丸と出会ったのは、母さまと居るのが嫌で城を抜け出した時だった。

何かの都合で奥州に来て、連れとはぐれ道に迷ってしまったらしい。

道を歩いていた俺の裾を引っ張ってきた。

半泣きになりながら『助けろ』と言われた。

命令口調だったのは気に食わないが、泣いてるやつを無視する程俺は冷めていなかった。

泊まっている宿の名すら覚えていなかった、こいつが唯一覚えていた宿の近くの団子屋の名物を頼りに、俺が探し出した。

別に見つけるのは難しくなかった。

ただ、何故か真逆に方に向かって弁丸は歩いていた。

宿に着くと佐助とか言う奴に礼の為に家まで送ると言われたが、断った。

身元が分かると厄介だし、何よりまだ城へ戻る気はなかった。

弁丸は、背を向けた俺に向かって『またね』と言った、嬉しかった。

暫く町をぶらついたが、長屋辺りで小十郎に見つかって連れ戻された。

いつものように、小言を言われた・・・。

五時間の正座はきつかった。

翌日、佐助と弁丸が何故か城に来た。

後で聞いたら、弁丸の用とは米沢城にあったらしい。

また、小十郎に怒られた・・・何故?

それからは弁丸とよく遊ぶようになった。

別れる時に必ず『また明日』とあいつは言う。

俺は、『あぁ』としか言えなかったけど。

笑って手を振りながらあいつは宿へ帰っていく。

次に会うのがこんなに待ち遠しくて楽しみな相手はこいつが初めてかもしれない。


       

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