青の祓魔師

□《闇に泣く》4
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「君は、お兄ちゃん気質でしたねぇ。」
 では、また弟(アマイモン)と遊んでやって下さいね。
 メフィストの言葉に、冗談じゃねぇっ、と喚き立てる燐へ、ニヤニヤ笑いを向けたまま。
 空中からシルクハットを取り出し、ヒョイと被ると、メフィストは煙り一つ残さずフッとその場から姿を消した。





 兄弟で、家族で、血が繋がっていて。
 だから、どうした。何がどうだと云うのか。
「そんなモン、今更だろ?」
 下らない。燐にして見れば、どうでも良いことだ。
 少なくとも、雪男が燐を煙たがっていようと、『死んでしまえ』と内心で思っていようと、燐には今更なことだ。

 だって―――。

「…母ちゃんの腹に宿った時から、雪男は俺のモンなんだから。」
 魂と命の契約は、子宮に宿りし無垢な胎児であった頃に。
 故に、燐の弟は、どんなに内心で兄を厭おうとも、離れることは赦されない。
 雪男から、燐に。
 燐から、雪男に。
 二人だけの、二人のみの、魂の誓い。






2012.07.03 -END-

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