青の祓魔師

□《闇に咲く》1
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 聖騎士に与えられる加護は、神からの聖なる祝福ではなく、悪魔からの呪いめいた歪んだ愛情から。
 獅郎から珍しく強請られたのは、きっと。
「直に…いえ…。」
 言葉を切り、意志の光りを失わない瞳を見詰めるメフィストに獅郎は、どこか寂しそうな顔で決まり事を告げる。
「魂はやらねぇ…。」
「結構。心は既に奪ってますから。」
 あなた方・人間が信仰する、聖なる父の神からは。
 メフィストは嗤う。

「肉は、貪る為にあり。器は、悦楽を盛る為にあり…。」
 人間とは、本当に興味深い、退屈しない愛玩具だ。
 悪魔は、嗤う。


 ただ…この類い稀なる魂を、この手で囲い、トコトンまで汚し堕とせないことが、とてもとても残念だが。


「…寄越せよ、その毒を。」
 獅郎は甘く強請り、愛しい悪魔に口づけた。





2012.10.20 -END-

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