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□鼻血少年
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僕の名前は小野妹子。
でも、何故だかそれしか思い出せない。
気がついたら目の前に変な男がいて、僕を見て倒れた。
鼻血まみれになりながら。
放っていくわけにもいかず、この人を背負い人がいるところまで運ぼうと歩きだした。
竹林を抜けると、何やら沢山の男達が
「馬鹿男ー どこですかー」
と叫んでいた。
ふとそのうちの一人と目があう。
その男は目を見開いた。
焦ったように僕たちに近付いてきて、とても大きな屋敷へと案内してくれた。
そこで、僕は布を渡された。
男は赤面しながら、
「どうか、それを羽織ってください。」
と言い、目を逸らした。
あぁ… 僕は裸だったのか
今、例の鼻血少年は布団で寝ている。
一先ず、僕はその横に座っていた。
これからどうしようか…
「ツナーーー!!」
!?
鼻血少年がいきなり叫んだ。 目が覚めたようだ。
そいつと目があう。
瞬間的に、黒くて綺麗な目をしているな…と思った。
「お前…」
?
「お前… 〇〇タマ付いた女の子か?」
真面目な顔して聞いてくる。
前言撤回。ただの変態。
「馬鹿なこと言わないでください。」
「なっ私は摂政だぞ…!」
摂政とは…何?
僕は一瞬戸惑った。
そんな僕の雰囲気を読み取ったのか、僕の返事を待たずに続けた。
「お前… 名前はなんだ?」
「小野妹子と言います。」
「私は聖徳太子だ。 小野イナフ…」
「イナフじゃないよ妹子だよ!」
僕は思わずツッコんだ。
疲れるなこの人…
太子は少しいじけたようだったが、ハッと思い出したように、僕の顔を見て、言った。
「さっきは助かった! ありがとう。」
太子って人はニコッとニヤが混ざったような笑みを僕に向けた。
あぁ 心臓の音が五月蝿い。