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□旅
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『…君のお名前は?』



あの時、何故芭蕉さんは僕に声をかけてくれたのだろうか…


…芭蕉さんはその答えを僕に言わないまま旅だってしまった。

あの人しか知らない答え。

僕が一人で考えたって答えを導き出せるはずがない。

だから今から聞きにいくのだ。

あの人に


此では不思議と疲れを感じない。

永遠に広がっている様な芝生。

時々小川があって青と白が混じったような液体がキラキラと反射しながら流れている。

とても美しく、全てが整っている所。


芭蕉さんさえ居れば。


「………芭蕉さん……」

小さな声で呟いた。

「僕は此に居ます。」

「…貴方は何処にいるんですか?」

「これじゃあ意味がないんです」

「芭蕉さんと会う前と変わらないんです」

「聞こえないんですかッ!芭蕉さんッ!!」

気がついたら僕は怒鳴っていた。

黒々とした不安が僕の心を支配し始める。

僕は立っていられなくなり、その場にへたりこんだ。


あぁ…

僕は何年、こうしていればいいのだろう……






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