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□放課後時間☆ 太子と曽良Ver
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「曽良せんせーーーい!」
太子の何処か間の抜けた声が、ここ日和学園の昇降口に響き渡る。
そんな夕方の爽やかな光景とは対照的に、呼ばれた本人は、刹那苦虫を噛み潰したかのようなイヤな表情をし、軽く舌打ちをした。
しかし、そんな曽良の様子に、太子が気が付くはずもない。
太子は、満面の笑みを浮かべながら、立ち尽くす曽良に小走りで近づいた。
…曽良も舌打ちをするくらいに太子が嫌いなら、さっさと無視して帰れば良いものの、そうしないのは、太子という生徒に絡まれたら逃げれない事を熟知しているのか、それとも曽良のそんな態度とは裏腹に、そんなに太子を嫌っている訳ではないのかは、よくわからない。
ただ、芭蕉に言わせると、太子は曽良にとって目の前にいても存在を許せる程度の存在らしい。
が、それがプラスのイメージなのか、マイナスのイメージなのかは、謎である。
「曽良せんせーも今帰り?」
「…そうですよ。」
「一緒にバス停まで行くでおま!」
無言で歩き始めた曽良の後ろを、太子が追う。
「あれ?そういえば今日、閻魔現代文の補習って言ってたけど、曽良せんせー違うの?」
「…ああいう仕事は僕には向いてません。あの弱ジジィの方が向いているんですよ。」
曽良の辛辣な言葉にニンマリとする太子をチラリと見た曽良が、呟く。
「…今日は一人なんですね。」
「そうっ!」
太子が勢いよく曽良の前に踊り出た。
「妹子も閻魔も鬼男も今日はみーーんな委員会やら補習やらで居残り。全く嫌になる!」
「…それはお気の毒で、でも僕の前に立ちはだからないでくださ」
「でも…」
「でも、曽良せんせーと帰れてラッキーだったりするでおまっ!」
「さっさと歩きなさい。」
「……いいい…」
「………え?」
「イカメシ!!!」
「はぁ?」
「私とシリトリで勝ったら、此をどいてやる!」
太子の突拍子もない言葉に、なぜか曽良が微かに微笑んだ気がした。
「屍」
「シカバネぇ??もっと可愛らしい言葉を………ねー… ネズミ!」
「じゃあ ミミズ で」
「地味に嫌な物を… ………ずる休み!」
「また み ですか? ……水」
「おまぁあぁあぁ! また、ずぅ?!」
…………
……
…
続く