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□はじめまして。
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入学式といったら、何を思い浮かべる?


桜に、新品の制服に、着飾った親たちに、期待に、不安に、初々しさ?

僕もさっきまではそう思ってた。


「はぁあぁぁ!!!ぉまえかっとつけてるんじゃぁぁねぇぇえいざぉおぉぉ!!」

「さっさとどきやぁあぁああがれぇえええぇえぃ」

「シバかれたいといのかぁあああぁああぁ!!!!」


何を間違えたら、入学式に、こんな支離滅裂な言葉を発する生徒4名と、それを浴びせられてる生徒1名に出くわすのだろう。

そして、なんで僕はその厄介事に首を突っ込んでしまったのだろう。



…自慢ではないが、僕は喧嘩なんてものに産まれてこのかた縁が無かった。

僕は、チラリともう一人の被害者に目を向けてみた。
身体の線は細く、色白。
背も、僕より低かった。
恐らく、喧嘩の腕に期待するなんて出来ないだろう。

…僕と奴でこの4人を蹴散らせる勝算はほぼ0に近い。


それに、最悪なことに此処は学校の裏だ。
この状態を打開してくれる、ヒーローの登場なんてを期待していたら、明日になってしまう。


僕は舌打ちしたい衝動を抑え、改めて不良4人を見てみる。
彼等は、相変わらず威嚇するように身体を揺らしながら、僕らに口汚い言葉を浴びせていた。



………


僕は奴の色白な手首を掴んだ。

「……行きますよッ」

僕は小声で呟いたのと同時に、不良4人が身体を揺らすことによって生じていた隙間に向かって走った。


……逃げるが勝ち先方。


上手くいくかは、賭けだ。
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