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□割愛
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「……大王は、どうやって死んだんですか?」
「……へ?」
「どうやって死んだんですか?」
「……どしたのいきなり?」
仕事が一段落して一服していたところ、鬼男が唐突に話し出した。
「いえ 大王は一番始めに死んだ人間だって聞いたので」
鬼男の言葉に、ふーん、と閻魔は相槌をうつと、どこか焦点の合っていない目で遠くを見つめ始めた。
そんな閻魔を、鬼男は見つめる。
「……忘れちゃった…」
「……え… 何馬鹿なこと言ってんですか」
鬼男の言葉に閻魔が苦笑する。
「…冗談じゃないんだけどな…」
「だって死んだ時のことを覚えてないなんて、おかしすぎます。」
「……鬼男くんー」
閻魔は近くに置いてあった閻魔帳を手に取った。
「長く生きているとね、昔のことなんて忘れちゃーうのー!! それッ!! て 痛ッ!!」
「そんな重いもの振り回したら、危ないだろうがッ!!」
「鬼男くんのケチー!」
ケラケラと笑う閻魔。
鬼男はそんな閻魔に、眉を潜める。
「本当に、忘れちゃったんですか…?」
「うん!!」
「本当に?」
「本当だよー」
「だったら…」
「ん?」
「……僕のことも…忘れちゃうんですか…?」