魔法少女リリカルヴィヴィオ
□プロローグ
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平和な日々近づく終わり
世間を揺るがした事件、通称JS事件の後は平和だった。
大きな事件も無く、楽しい毎日が続いた。
でも、こんな平和な日々の中でも悲しいことにやっぱり事件は起きていて、毎日のように報道される事件の数々を見るたびに心が痛くて。
だけど、そんな事件の報道の際、時折部隊の指揮官としてテレビに映るなのはママやフェイトママを見て、同じところに立ちたいって思ったんだ。
そうして、私は九歳になった時、管理局入隊した。
こんにちは。私、高町ヴィヴィオです。
現在は13歳。ママに憧れて魔法少女をやっています。階級はなのはママの一つしたの二等空尉。っていっても実は訳ありで、肩書きだけの階級で、本当はまだまだ駆け出しなんですけど。
さて、私のママ達はと言いますと、なのはママはまだまだ現役の教導官。私なんかじゃまだまだ足元にも及びません。
フェイトママも執務官として忙しく走り回っています。とても優秀な人なので、各地からいっぱりだこという有様らしいです。
かくいう私も局に入ってからは社会人なので、昔ほど一緒にはいられませんが、それでも仲良し家族としてやってます。
そんなママ達のお友達のはやてさんはなにやら二人以上に忙しいらしく、連絡もほとんど取れていません。噂に聞いた話だと、また部隊を立ち上げようとしているとか。
はやてさんは優秀な指揮官であることはJS事件を戦い抜いた機動六課の部隊長をやりぬいたことからも立証済み。
その彼女が急ぎ部隊を設立しようとしている。
何かが、また起きようとしているのかもしれません。
「何はともあれ、ここからだよね。フェアリー?」
『はい。確実性に欠ける噂を気にして試験に落ちては元も子もありません。無茶をして教導隊に所属していた経歴が泣けるというものです』
雑念を振り払うようにフルフルとヴィヴィオは首を振る。
それは正しいと首にかかる蒼に輝く宝石――高度な支援機能の他、日常会話をも可能とした次世代型インテリジェントデバイス『フェアリー』がヴィヴィオの行動を肯定する。
そう、今は試験の最中なのだ。他に思考を裂いている余裕は無い。
腕試しに受けたBランク試験とはいえ、魔道士の最初に突き当たる壁とされる試験だ。万に一つも油断するべきではない。
二等空尉。階級で言えば彼女がBランク試験を受けるなど有りえない。だが、彼女の階級は肩書きだけ。実質的な実力は測ってみなければわからない。
「そうだね。厳しかったけど、こんな試験で落ちちゃったら、違法な手段で所属してきた私を他の人と同じように叩き上げてくれた教導隊の人達に顔向け出来無いし」
『なら、目指すのは?』
フェアリーから響く疑問の声。
とは言うものの、問いに対して答える言葉は決まっている。
このデバイスもわかっていて質問したのだろう。
迷うなと、今は前だけを見るべきだと。
「一発合格。大丈夫。たくさん訓練積んだんだもん。受かってみせるよ」
『少々固い答えですが、まぁ、良いでしょう。受かりましょうかマイマスター』
落ちるつもりは無い。
肩書き階級だと言われないために。
決意する彼女を待っていたかのように。
《高町ヴィヴィオ二等空尉、配置についてください》
試験開始をつげるアナウンスが試験場に流れた。
試験を受けて、階級に見合うだけの魔道士になって、事件も解決して、胸を張って高町なのはの娘ですと言えるようになる。
そんな日々を目指した。否、目指すはずだった……。