魔法少女リリカルヴィヴィオ

□第三話 出会い
1ページ/4ページ

▼▼▼▼▼▼▼

 第三話 出会い

 試験終了より二週間の日が流れて、時刻はミッド時間で午前8時30分を迎える。
 特にこれと言った名所も無く、人通りの少ない朝の自然区で
アスファルトを叩くコツコツという音が一つ。
 顔立ちは未だ幼さを残すが将来有望間違いなしの美少女。身長は140cm後半。髪はツーサイドアップの金髪。服装はやや地味な茶色のスーツ。最大の特徴は真紅と翡翠のオッドアイ。

「ついたね。フェアリー」
【そうですね】

 オッドアイの少女――高町ヴィヴィオがそこにいた。
 表情はと言えばやや緊張しているのか硬く、いつも浮かべている笑みは無い。
 それもそのはず。今彼女がいるのは新しくスタートを切ったばかりの新生機動六課の隊舎前なのだから。
 試験で浮かんだ改善点をクリアしたヴィヴィオは今日から機動六課の一員。
 言わずと知れた機動六課の一員ともなれば、緊張するのも頷ける。

「うん……。そうだね。来たんだ……。来たんだよね」
【はい。間違いなく】

 噛み締めるように呟くヴィヴィオ。それにフェアリーは事実だと肯定する。
 その無骨な肯定が嬉しかった。ただ、嬉しかった。
 フェアリーが、連れ添った相棒が間違いないと肯定してくれている。
 母と同じ場所に立つ。
 夢にまで見た。けれど、夢ではなく、現実となった。

「入隊おめでとう。ヴィヴィオ。待ってたよ」
「なのはママ……」

 感動を噛み締めていると入り口の方から優しげな声が聞こえる。
 見れば、母であり、目標である高町なのはが笑みを浮かべてヴィヴィオを待ちわびていた。
 母のように成りたかった。誇りを胸に、仕事に打ち込む姿は太陽のように眩しくて。
 憧れた。並びたかった。だから、並ぶために無理もした。相応の苦労もあったが行って良かったとこの一言で思えてしまう。

「高町ヴィヴィオ。本日より機動六課に入隊します!」

 さぁ、始めよう。刻んでいこう。今ここから、本当の私の物語を。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ