銀魂〜出動!真選組!!〜

□ギャグパート集Part3
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「土方さん。土方さん。」


「何だ?総悟。」


既に女の群れに囲まれた二人がようやく会話を始める。


「こいつ等天人ですかィ?」


「どー見たって地球人としか考えられねぇだろ。」


「いや、どー考えても地球外生物でしょ。『退け』って日本語通じてねぇし。」


「じゃあ英国とか米国とかまぁなんかそんな感じのとこから来たんじゃねぇのか?

このクソ暑い時にいい迷惑だよ。この際南極にでも行きてぇよ俺は。」


「そんなら今すぐ俺が|奈落の底(パラダイス)にでも連れてってやりまさァ。」


ガキン!土方のこめかみに刀の切っ先をあてがって言う。


極めて無表情なのがまた怖い。


「いや、遠慮しとく。」









その頃、志半ばに夢を諦めた男達は各々、思うままに行動した。


「どーせ分かってたんだけどねー。」


「でも、ホラ。信じたいじゃん?もしかしたら一人でもカワイ娘ちゃんが来るかもって」


「え?お前、マジでハーレム狙ってたの?俺はホラ、海水浴に来ただけだし。」


などと涙を目に溜めながら。すると隊士達のテーブルにコトリとかき氷が置かれる。


その横には、見慣れた美女がどっかりと座った。


「食え。奢りじゃ。」


小豆が入った缶詰に爪を引っ掛けながら無造作に言い放った。


「「「副長・・・」」」


ジ〜ン。その愛想のない言葉は傷ついた戦士の心に深く染み渡る。


「あ、でも副長はあのハーレムに参加なさらないのですか?」


「BIKINIを着てこなかったのが気に入らんかったようでな。のけ者にされた。」


缶詰から出てくる小豆をかき氷にかけながら答えた。


ハーレムを(強制的に)味わう二人とそれに泣きながら目を背ける無数の男達。


シュールとしか言いようの無いこの光景に突然、変化が訪れた。



ズドン!!


砂浜の方に響いた爆発音が耳を|劈(つんざ)いた。衝撃で海面が揺れる。


そして海の家も、衝撃だけで机がもげた。誰も音が下方向をむく。


そこにはとんでもない大きさの猛獣がいた。


「「「「キャーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」」」」


叫び声と、一斉に走っていく女達の姿。その群れと反対方向に恋歌は走っていった。


その中に一人、不吉な笑みを浮かべていた者がいたのを見逃して。


「何事じゃ!?」


刀を片手に、既に集まっていた面々の方に問い掛ける。


「こっちが聞きたいね!!ナニアレ!何であんなモンが海に生息してンの!?」


李麻の言うとおり、体中に火をまとうその猛獣は海という水辺に生息するはずもなかった。


「まぁ取り合えず斬って浸せば問題なかろう。」


「ですねィ。」


スラリ。2つの鞘から2つの刀身が顔を出した。


「何でお前等刀なんて持って来てんだよ。」


「何言ってんですかィ。今日こそはアンタをこの世から葬り去るためでさァ。」


「私は反対…」


言いかけて口を噤んだ。


「…の反対の理由じゃ。」


「要は一緒じゃねぇか!!」


一片の疑いも無くツッコむ土方に、何か胸に刺さる思いがした。が、跳ね除けた。


「フッ。こんなこともあろうかと色々武器も持って来てある。そなた等はそれを使うが良い」


チャックに手をかけてリュックサックを逆さまにした。


そこからはジャスタウェイ、ジャスタウェイ、ジャスタウェイ、ジャスタウェイ…


「ジャスタウェイしかねぇじゃねぇか!周りにも被害が出るっつったろが!!」


「だって他に携帯できる武器がなかったんだもん!!」



「コントやってねぇで早く戦闘開始しろー!!」


ミントンラケットでジャスタウェイを飛ばす山崎のツッコミ。


何の躊躇もなく投げる李麻や総悟に遅れをとらん。というばかりに二人もさっさと開始した。



「グギャア!!」


短い断末魔をあげた猛獣がその場に横たわって、ピクリとも動かなくなった。


始め山のようにあったジャスタウェイが今はキレイサッパリ無くなっている。



フーッ。全員が息をついたその時だった。


「ッアーーーーーーーーーーーー!!余の…余のペットのジョンがああぁぁぁ!!」


振り返ると、皇子のような容貌をしている天人がいた。


薄紫の肌をしていて、頭には同色の触覚がある。そしてやや肥満気味。


横にいる痩せ型老人は薄黄緑の肌にメガネ、やはり同じ様に触覚があった。


「・・・・・・は?」


「おいお前等ー!このくs…この方をどいt…どなたの心得る!バカ皇子だぞー!!」


「いや、バカじゃねーよクソジジイ。」


あ、何かそんな感じの幕府のお偉いさんがいたわ。心の中で全員が思った。


「余の大事なペットをこんなに…誰か責任取らんかー!」





「沖田さん、一番多くジャスタウェイ投げましたよね?」


「いや、一番最初に投げたのは御月でィ。俺ァ見てた。」


「一番最後に投げたのは土方さんだったよ。僕は見てた。」


「いや、そもそもジャスタウェイ持って来たのは恋歌だろ。」


「いや、一番効いたのはミントンラケットで飛ばした山崎の攻撃じゃろ。」


「いや、沖田さんが…」

「いや、御月が…」

「いや、土方さんが…」

「いや、恋歌が…」

「いや、山崎が…」



真選組総出(近藤抜き)で行った海は…誰も楽しくなかったという。





 
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