銀魂〜出動!真選組!!〜

□ギャグパート集
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〜映画のジャイアンは何かいい〜




拝啓 父上


たどたどしい文の頂戴ありがたく存じます。


私が入隊して五、六ヶ月程たつでしょうか?五月蝿い蝉時雨も無くなり過ごしやすうなりました。


今まで文の一つも寄越さなかったことお許し下さい。


入隊早々真選組副局長という位を貰い受けたので覚えることが多すぎたのです。


故に上司はただの二名。


夜とか薄汚れた大人の世界のくだりを書いた意図は全く存じ上げませんが多分無用な心配でしょう。


それと文でお教え頂いた鯛焼き屋は大層美味しゅうございました。


屋台の主に常連宣言を残しておきました故。


それより、父上より貰い受けたマヨネーズアレルギーが毎日のように出るのです。


それも上司がマヨラーとかかこつけて何にでもあの黄色い物体を・・・・・・





ピリリリリ。


父親宛の手紙を描く為に筆を取った手を止めて携帯の通話ボタンを押す。



「須藤じゃ。総悟か。何?・・・・あー、すぐ行く故そこで待っておれよ。」


一瞬、鬱蒼とした顔でベルトに刀を差し、上着を羽織って、屯所を出た。


間髪要れずに、その周りの廊下を、愛らしい少年の顔がのぞく。


「ふーくちょ!暇だよー。遊んでよー。・・・ってアレ?いない。」


「いや!!御月隊長!?まだ仕事残ってますよ!?暇じゃないですよ!?」


付き添いで来た山崎が止める。


今はもう誰もいない部屋を小幅で歩き回り左右を見渡す。


ふと目に停まったのは文字の羅列がある横に長い半紙。


鬼のいぬ間に。李麻はそそくさとその半紙を手に取った。


「お父さん宛かー・・・・何々・・・・」


「ダメですよ。人のプライバシーを勝手に・・・え?何この人夜知らないの?」


「さり気にお前も見てるし〜。ぶってるだけだろ。芸能人だって趣味とか色々ぶってんだから。」


「オイィ!!その瞳はどんだけ歪んで世の中見えてんだ!!」


ツッコミどころはそこか!!芸能人の皆さんに両手ついて謝れ!!


「おい。何で作者が普通に会話に入ってきてんだよ。」


ま、待て!蹴りだけは堪忍やでー!ナマ言ってすんませんした!黙って話続けるんで!!


そして李麻はさらに深く文字を読む。


「あーこの人マヨ嫌いなんだ。じゃああの洗礼大変だったろうなー。」


視線を文字に落として、思い出したくない過去を思い出す。


忘れたい思い出ほど何日経っても鮮やかに覚えているものだ。


「大変でしたよー。アレルギー症状が三日三晩出っ放しで…」


そのせいで散々尻拭いをさせられたであろうその姿が容易に浮かぶ。


「しかし半年近くも手紙一通寄越さないなんて親不孝だねぇ〜。」


「隊長は何時も親御さんに書いてんですか?」


うん。そう言って李麻はニッコリと頷いた。


「毎月たった3行で済むからね。『お父さんへ 死ね 李麻より』ってね!」


「ただの嫌がらせになってるー!それだったら寄越してくれない方がまだマシだっつーの!」


「そーぉ?憎まれ口叩ける=元気って伝わると思うけどなぁ〜。」


「どんだけひねくれたメッセージ!?だったら最初から元気ですって書けー!!」


と言って頭を抱えた時、山崎の肘が黒い墨がたっぷり入った硯(すずり)を弾き飛ばした。


墨は血飛沫のようにたけ掛けられていた恋歌の寝巻きに染み付いた。


ゴトン。その寝巻きの上に硯が着地する。


瞬間に、山崎は全身の血の気が引いた。


数時間後の最悪の未来を想像して。


不味い。 まずい。 マズイ。頭にはそれしかなくなった。


ふと半年間で出来た須藤恋歌の武勇伝が総まとめで記憶から蘇る。


此処で最強を歌われた男と戦って、結果負けはしたもののその勝率49勝51敗。


因みに自分なんて1勝出来たら奇跡だと思っている。勝てる気がしない。


どうやらそれは李麻も同じらしかった。


「ザキヤマー。今の明らかお前のせいだよねー?僕関係ないよねー?」


「いや、元はと言えば隊長が須藤さんの部屋に入ったから。同罪で・・・」


「違うね。そりゃ先に入ったのは僕だけどこの惨事を引き起こした直接の原因にはなんないよ。」


「いや、でも入らなかったらこの惨事は起こらなくて・・・・・」


「何?そんなに僕を失脚させたい?もしや二番隊隊長の座を狙って・・・・・・」


「そんな滅相もないー!!」


「狙ってる奴は皆そう言うの!例外って言ったら世界中何処探しても沖田さんしかいないね!」


目の前の惨事の結果を前に、言い訳をする男達。


一筋の冷や汗を垂らして、佇んでいるだけだった。


そんな重力が此処に集中して集まったかのような重い空気を突っ切ったのは李麻だった。


「まぁ、とっとと取りあえずは墨汁が浸透する前に何とかしよう?手伝って?」


「あ、はっはははは・・・・はいっ!」


掛け軸から外してさてどうしようかと考えていた時、砂利を踏む音がした。


「おい、テメー等何してんだ?」


「副長ー!」


「土方さーん!」


一瞬神のような存在が降りてきたような気がして全て話した。


「なるほど。・・・・・派手についたなコレ。」


と、土方がそう言うように寝巻きには胸元から下腹辺りまで広範囲でついている。


「何かいい方法ない?お婆ちゃんの知恵袋的ないい方法。」


「あるわけねーだろンな知恵袋。墨は絶対落ちねぇ。諦めるんだな・・・・と言いてぇとこだが」


その言葉に期待の念は一層強まる。


「こいつを使えば綺麗サッパリ落ちる!!」


内ポケットから現れたのは言うまでもなくマヨネーズだった。


「こんなモンで落ちるんだったら今頃主婦の間で大ヒット商品だろーがよ!!」


「落ちたとしても匂いがつくだろ!!またアレルギーでたらどーすんだよー!!」


ドッ!!ガッ!!地面に突っ伏したマヨネーズと土方は容赦なく踏み潰される。



















「・・・・・・ったく。常識あんだかないんだかわかんねぇよあいつ。」


大きな空に泳いでいる雲を目で追いかけてから呟いた。


その時また、砂利を踏む音がした。


「おーぅ。ザキに李麻じゃぁねぇーかぁ。どうした?」


「こんどーさん!」


「局長!」


わらにもすがるような心境で洗いざらい近藤に話した。




「だーはははは!簡単な話だ。墨を完全に消せば済む話。こんなもん朝メシ前よ。」



「えーでももう墨浸透してるよー?しかもあんなベットリと。」


「この際ケチャップならかけてもいいですからお願いします。」


半ば諦めたような目で二人は頭を下げた。


「任せろ!墨なんか跡形もなく綺麗にしてやるよ!!」



〜10分後〜


「出来たぞ!!」


「おお!!やっぱ大将は違うわー!!」


「局長ー!!一生ついていきまーっす!!」


近藤に飛びつこうとした四つの足は振り向きざまに止まった。


態度で「前言撤回」と語っていた。


それもそのはず、確かに隅の部分はないが、それは単に布ごと切り離しただけである。


胸元から下腹まで綺麗に。


「下ネタに走るのも大概にしろこのゴリラ!!」


「この小説に年齢制限付けたいのかァー!!」


「ギャアアアアアアアアアアア!!!!」




今度は近藤も地面にたたきつけられる。



怒りの感情を思いのままぶつけていく中、二人は同時に同じことを考えた。



((腹、掻っ捌こう))
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