銀魂〜出動!真選組!!〜

□鬼兵隊篇
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〜言葉の意味は知ってから使おう〜




局長、副局長、各隊長たちが集まる重要な会議。


とある過激派攘夷浪士の一派が動き出したとの情報が入り厳重注意を呼びかけるための会議。

事細かに説明すれば、その攘夷浪士一派の人間が人斬りをしていること。

攘夷浪士の端くれ、岡引(おかっぴき)、酔っ払い、女まで会った者は残らず斬られている。

犯人は未明だが、港での祭が近いことからある攘夷浪士の組織の名が挙がった。

長々と続いたが、ようやく最後の質疑応答の時間まで差し掛かった。


「はーい。はーい。土方さーんちょっと質問でぇーす。」


緊張感を削ぐような口調で二番隊隊長、御月李麻(みつきりお)が挙手する。


「ん?何だ?」


「あの〜『鬼兵隊』の読み方って『おにへーたい』でいいんですかー?」


「『鬼兵隊』と書いて『きへいたい』と読むんだよ!!じゃなきゃ不自然だろ!!」


「この漢字って『おに』って読まないのぉ!?漢字ドリルに書いてたの嘘だったのかよチクショー」


何かメモとをりながら毒づいた。


「確かにそうとも読むけどこの場合は『鬼』ってのは『き』って読むんだよ!!…他には?」


「あ、はーい!はーい!そこの一番偉い人って誰?」


「テメー会議参加してたか?・・・総悟。説明してやれ。」


総悟は「かったりー」と目で土方に訴えてから李麻に説明した。


「・・・・・・・・高杉 晋介(たかすぎ しんすけ)でィ。」


懐からアイマスクを取り、人差し指を中心にクルクル回しながら呟いた。


「奴ァ『過激派攘夷浪士で元も危険な男』と謳われてる。

かつて攘夷戦争時には『黒い獣』とも呼ばれてた。ナメてかかると痛い目見るぜィ。」


「ふーん・・・・」


書かれている意味の分からない分厚い紙の束をぼんやり眺めて相槌を打った。


「はーい!はーい!ソイツって基本的に何処にいんのー?」


「知ってたらとっくに現場行くだろ!!バカなの!?バカなのお前は!!」


「バカじゃねーよ。ただ必要最低限の知識がないだけだっつーの。」


ニッコリ笑いながら自供した。


「それをバカって言うんだよ!!」


「トシ。俺も質問が・・・・」


喧々囂々(けんけんごうごう)の空気の中、今度は近藤が挙手した。


「ん?」









「この会議の議題何だっけ?」


この一言には、全員が盛大にずっこけて長い会議が幕を下ろした。
















「ふーくちょ!!構って構って〜!!」


子供のような無邪気な笑顔で恋歌の部屋と縁側を仕切る障子からひょっこり顔を出す。


「帰れ。」


苛立ち気味の一言が返ってきた。


「えー?いーじゃ〜ん。どーせ仕事してないんでしょ?」


「珍しく仕事しておるから帰れと言うておるのじゃ。帰れ。」


「ちぇ〜!何だよ何だよ!!どいつもこいつも〜・・・・」


ぶつくさ言いながら李麻の顔がヒュッと引っ込む。ドタドタと縁側が踏み付けられていった。


先程の会議の資料を食い入るように見つめて呟いた。


「…ただ者ではない…か。高……あれ?何だっけ…」


と。






















翌日。川原にて。澄み切った空の下で芳しくない光景が広がっていた。


「あらら。バッサリ一太刀だねぇ。」


ビニールを捲くし立てて、肉塊に李麻が呟く。


「もがいた形跡もない為、一瞬の内に殺害されたものかと。」


隊士の声をどこか遠くで捉え、ビニールを被せた。


「夜間外出禁止令出すべきだねコレ。こんどーさんに許可貰って?残りは引き続き調査ヨロシコ。」


「はいっ!!」


李麻の指示のもと、隊士達は散っていった。さて…と。ここからどうしょっかな?


そう思った時、定着した声がした。


「誰かと思ったらお前アルか。お前が仕事してるとこ初めて見たネ。」


何か大きな犬に乗っかった神楽が、こっちへやって来る。


「僕も初めて仕事した気がする。でも今回はマジで危ないヤマなんだよね〜」


はなでため息をついて言葉を返す。


「そんな仕事お前が任されてるアルか?」


「酷いよね〜。真選組(あそこ)、男も女も子供も大人もないようなもんだし。でも…

厳しいけど差別もない…だから僕もふくちょーも真選組(あそこ)が好きなんだと思う。」


辛気臭かったか。言った後で毒づいた。


「・・・・・柄にもない事言ってごめん。忘れて。」


そう言って神楽に出中を向けて手を挙げ、手首だけを振った。


「・・・・行くヨロシ定春(さだはる)。」


のっし、のっし。川原にしっかりと足跡を残し、歩を進めた。
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