銀魂〜出動!真選組!!〜

□ギャグパート集
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トロール。恋歌にとってはこれほど気だるい仕事はない。


だってパトロールしようがしまいが何も変わんないじゃん?ぶっちゃけ。


というのが本音である。


決められた道を歩きながら、行きがけに寄った鯛焼き屋の鯛焼きを頬張る。



ふとあの時、近藤に出会った道場の前に差し掛かる。


本当にあの時此処へきてよかった。今でもそう思える。


「変わらんな・・・・あの時と・・・・・」


思わずそう呟き、仕事に戻ろうとした時だった。また同じような人影がいることに気がついた。


ただその時とは、一つ違うことがあった。・・・・・・それは・・・・・・


「お妙さーん!!貴女の勲で・・・・・・ゴフハッ!!」


影自らが、聞き慣れた声と、聞き慣れた名前を発していたことであった。


「き・・・・局長!?」


鈍器のようなものが顔にめり込んでいる。不意に殺気を感じて向き直る。


そこには桃色で花柄の着物を着ていて、髪を後ろで束ねている女がいた。


薙刀(なぎなた)を持ってどす黒い笑みを浮かべている。その傍らで


「ちょ・・・姉上!!落ち着いて・・・・」


眼鏡をかけた・・・・・・・何だか・・・・他に特徴のない素朴な少年がそれを咎めていた。


しかし、全身で止めようとはしない。


この女から出てくる殺気からして本当に近藤を刺しかねないというのに。


恐れをなしているのか・・・・取り合えず女に事情を聞かねば。


眼鏡の奥の栗色の瞳が、こっちを見ている。


お願いします!!何とかしてください!!


と訴えているようにも見える。


無理もない。この女性の顔はそこらの攘夷浪士共より恐ろしい。


堅気(かたぎ)に剣を振るうのは良くないのもあり、近藤を担いで足早にその場を去った。


「事情は後日聞きます故今日は失礼させて頂きますーーーーーーーーっ!!!」


いつかの時と同じように、ただ逃げることだけに専念して走った。


その刹那だった。女性が持っていた薙刀が近藤の頭をかすめる。


薙刀はコンクリートを貫いて、カランと無造作に落ちた。


「事情なら今から説明してもいいのよ?ただ・・・・・・」


薙刀を拾いながら言葉を吐き連ねる


「事情を知ってもそのゴリラ庇(かば)えるのかしら?」


片手を口元に当てて上品に微笑んだ。


















「・・・ストーカーで御座いましたか。それは我が上司がとんだご無礼を・・・・・・」


「いいのよぉ。何も貴女が悪いわけじゃないんだから。」


彼女の家の中。出されたお茶をすする音がするだけで辺りは静まり返っている。


「ああ、申し遅れました。私、真選組が副局長、須藤恋歌に御座います。以後お見知り置きを」


「志村 妙(しむら たえ)よ。」


「弟の志村 新八(しむら しんぱち)です。よろしくお願いします。」


簡単に自己紹介を済ませて。少々雰囲気が和やかになる。


「お妙さーん!新八くーん!恋歌ー!!俺を、助けてー!頭に血がー!!」


物干し竿で逆さまに吊られている近藤を放っておいて。


「真選組に、しかも副長になれるって事は腕がいいってことですよね。すごいなぁ。」


ニコニコ笑みを浮かべて新八が話題を持ちかけた。


「いや、副長の席は流石に運じゃ。あまり褒め称えられることでもない。」


「いや、でもあの土方さんと対等に話せるほどの権利を有してるって事じゃないですかぁ」


「や、キャリアの違いでクソヤ・・・あの方のほうが上ということになる。」


「今クソヤロウって言いかけたよね!?上司にクソヤロウって言いかけたよね?」


「新ちゃん。同じ地位に立つ人間は比べられるものなの。言ったら恋ちゃんが傷付くでしょう。」


「あ、そうか。」


「その発言の方が確実に傷付く。つーか何故にそこで納得?」


確かにそれを否定するつもりはない。この半年間幾度もそう言われてきたからだ。


やれ、土方に比べて勘が鈍い。力がない。危機察知能力が足らない。


攘夷浪士との対峙でも攘夷浪士に言われてきた。しかし改善しようとしなかった。


それらを培うことで彼奴(きゃつ)の剣筋に似通ってしまう気がしたからだ。


それにそんなやつ等は全て黙らせたから全く問題ないのだが。


「でも、須藤さんの方が上回っているとこだってあると思いますよ!元気出してください。」


「黙れよ、ダ眼鏡が。」


チッ。舌打ちして頬杖をつく。


「あれ?何で僕嫌われてるんだろう。何か気に障ることでも・・・?」


「新ちゃん。存在そのものが気に障ってるのよきっと。」


「酷え!!酷すぎるでしょソレ!!」


「須藤家は代々眼鏡掛けた奴に関わって死んだ。」


「どんな家系に生まれ育ったんだよ!!個人的に僕が嫌いなだけでしょうがソレ!!」


「後、貴様が最初に宇宙一聞きとうない固有名詞を口にしかからというのもある。」


「というのもあるじゃなくてズバリそれだろうが!!ソレしかないでしょうが!!」


一瞬面倒くさい顔を新八に向け、お妙に向き直った。


「お妙殿。バカゴリラがまた来たら此処にご連絡を。この世から消します故。」


「まあ!ありがとう。」



ふと日が沈み行くを空を見上げる。


毎回こんなことがあるなら見回りも悪くないか。


フッと笑ってから席を立った。
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