ハイスクールD×D 正義の味方

□第三話
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ロスヴァイセからの告白を受け、驚きはしたものの彼女の 意思は確かに受け取った。

私にあの様な事を言うのは理解出来ないがそれでも彼女の 意思は無下には出来ないし、彼女の気持ちがわからないほ ど私は鈍感ではないつもりだ。

しかし今の私にロスヴァイセの本当の気持ちを受け取るこ とは出来ない。

この身はまだこの世界で何もなしていない。

彼等神と魔王は私に好きに生きろと言ったが、それでも何 もしていないまま他の事を出来るほど私は器用には生きら れない。

何よりもロスヴァイセは私にとって眩し過ぎた。

彼女はまだ10代半ばの少女だ。そんな成長仕切っていない 無垢な彼女が私のような者といて汚れて仕舞うのでは、と 思ってしまったのだ。

私は錬鉄の英雄と呼ばれたことがある。 英雄と言えば聞こえは良いが、英雄とは要は大量殺人者だ 。 これはどの英雄にも言えることで、自分の大切な者、譲れ ないことなど理由は様々だが皆その理由の為に人を殺して きた。 それは反英雄でさえ一緒である。

何をなしたか、それにより英雄か反英雄に別れるのだ。

中にはアンリ・マユ(この世の全ての悪
)の様に信仰のみで反英雄になった 例外などもいるが概ね同じだ。

私も全てを救う正義の味方に憧れ、目指していた。

しかしその目標は変質していき、全てを救うことからより 多くの9を救う為に、本当に守らなくてはいけない1を切り 捨ててしまった。

ただ泣いている人を救いたかった、せめて自分の目の届く 範囲だけでも守りたかった、それだけだったはずなのに…………

そして世界との契約により私は英霊となり掃除屋として殺 し回り全てが嫌になった。

だから過去の自分を消し、因果率の改編を試み、自分の存在そのものを改編しようとした。
そしてその自分に気付かされた。

そして我が主だった少女との約束もあり、再び正義の味方 を目指しているなかこの世界に降り立ったのだ。

私はこの世界で何もなしていない、依然大量殺人者のまま だ。まだ何も救っていない、誰かの笑顔のために動いてい ない。 そんな私が彼女といれる訳がない。

この様に思うと言うことはロスヴァイセは私の1になりつ つあるようだ。

不思議なものだ、まだ彼女と出会って1日も経っていない のに。 だが私は彼女に何かを感じたらしい。

だから私がこの世界で何かをなし、ロスヴァイセが彼女の 言うヴァルキリーになったときにまだ私を思ってくれてい たらその時は―――――

っと、年甲斐もなく何を私は考えているのだろうか。

こんな男ではなかったはずなのだがな。

まぁ今から考えても仕方ない。その時がくればその時に考 えよう。

とりあえず今は

「ちょっ!や、やめいごふっ!?わしは一応お主らのある ぶっ! わ、悪かったからもう蹴らなぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 」

何故か集まってきたヴァルキリー達にたこ殴りにあってい る老人を救うとしようか……………。



「うむ、助かったぞい。 変な所を見せてしまったのぉ。すまんかった」

今私に頭を下げた顔がボコボコでいたるところに傷がある 老人、大神オーディンが私に言う。

「なに、気にするな。 彼女達の気持ちもわからなくはないが些かやり過ぎだった のでね。 それを止めたにすぎないさ」

私の言葉に大神オーディンは「そう言ってくれると助かる わい」と言った。

「それにしても大神オーディンが私に何用だ? 特に貴方が興味をなすことをした覚えはないのだかね」

そう、私は大神オーディンが私をここに招いた理由をまだ 聞いていない。

「大した事ではないわい、過去にキリストの神と冥界の四 大魔王を殺した男に会ってみたくてのぉ」

この発言に周囲の空気が変わった。

待機していたと思われるヴァルキリー達が一斉に私を囲み 警戒していた。

ロスヴァイセすら怯えた表情をしていた。 大方私が大神オーディンを殺すとでも思ったのだろうが検 討違いも甚だしい。

大神オーディンはこの様子を黙って見据えていた。どうや ら私の対応を見て私の人物像を見るようだ。

しかし槍や剣を向けられる事に喜ぶ趣味はないので誤解を 解かなくては。

「安心したまえ、私に大神オーディンを害するつもりはな い」

すると1人のヴァルキリーが前に出てきて

「その証拠はあるのか?」

と言ってきた。

「証拠などないが私はこれでも正義の味方を目指す身でね 。

何かを守るため、救うために闘うことはあっても殺すため だけに闘うことは間違ってもない!」

私は目に力を込めてそう言い放った。

数秒の間であったがその女性は私の目をじっと見つめた後

「失礼しました。 貴方は真に勇者であったようです」

と言って下がっていった。それを合図に周りのヴァルキリ ー達も警戒をとき下がっていった。

それを見ていた大神オーディンは笑いながら

「ほっほっほっ、どうやらお主はヴァルキリー達に勇者と 認められたようじゃの。 それにしてもまさかブリュンヒルデにも認められるとはの ぉ。 あやつが認めた者は大概の者が勇者と認めるのじゃよ。

良かったの、これでアースガルズでお主はそうそう危険は ないぞい」

ほっほっほっ、と笑いながら大神オーディンは言った。

「それはありがたいな。 それよりその勇者とは何とかならんのか? その様に呼ばれるとこそばゆいのだが……」

「それは諦めい、ここヴァルハラでは勇者と英雄は同義語 での。 それにブリュンヒルデが認めたのじゃ、皆がお主を勇者と 呼ぶのぉ」

そうか、諦めるしかないのか………。 なら仕方ないか、あまり一ヵ所にとどまり続けるつもりは まだ無いし、長引いてもいずれなれるだろう。

「それにしてもお主は正義の味方を目指しておるのかのぉ ? ほっほっほっ、まさかこの時代にその様なことを考える男 がいるとはのぉ」

突然笑いながら大神オーディンは言った。

これに私は少しムッとしながら

「……何かおかしいかね?」

と言うと
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